思い出の作品達 第三十七回 「ベースボール」

ベースボール

ベースボール




 初めて触れた野球ゲーム。
 今から思えば全然大したことも無く、言わば野球盤の劣化移植みたいな代物で、試合中には殆どBGMが流れることも無くただただボールを投げる音・打つ音・野手が走る音がチープなBeep音で表現されているだけの、そんな作品だった。打者も投手も皆没個性で記号として存在しているだけで、違うのは各チームで色分けされた着ているユニフォームのみ。
 だが、昔の俺達にとってはそれだけでも十分に遊べる作品だった。何も無いからこそ、何かがそこにはあった。
 
 今となっては、何故この作品に思い入れがあるのかすら、まるで思い出せない。強いて言えば音が妙に耳に残っていることぐらい。
 だけど、確かに記憶に残っている……そんな作品。