思い出の作品達 六十五回 「クロノトリガー」

クロノ・トリガー

クロノ・トリガー

 
 
 『坂口博信堀井雄二鳥山明の三大看板のみならず、脇を固める(と言うか実質メインで作品製作を行った)SQUAREの若手に至るまで綺羅星の如き人材を投入して作成された見事な完成度/調和度を誇る大作』『誰もが考え付きそうで、それでいて中々実装される事の無かった強くてニューゲームの採用(「エストポリス伝記」の方が早かった気もするが)』『ラスボスに序盤から挑める自由度/ラスボスを倒した時点でのシナリオ進行度・要素によって分岐するエンディング』『(微妙にパラドクス満載ではあるが)時間移動を題材に用いただけあって時間経過という要素をビジュアル/シナリオの両面から表現』『未使用曲のバトル2が格好良いのに何で使われなかったんだと言う理不尽』『続編は無かったことにしたい俺』という様々に交錯した要素に満ち溢れた作品。最後の二つは私怨だから気にしない様に。
 『船頭多くして船山に登る』とは言うが、この作品に対しては本来の『船頭が多ければ、船はどちらにいけばいいのか迷いに迷って、山に登ってしまう』という意味ではなく意図的な誤用である『船頭が大勢居れば船でも山に登ることが出来る。頭を使う人が大勢居れば、登れない山に船ごとにでも登ってしまう。』という意味を以って当てはめるべきだろう……さて、ここで苦労した船頭のはゆう帝かヒゲか、どちらなんだろうな。(まぁ現実には双方共に苦労して折衝して妥協した結果なのだろうけれども。)
 個人的に高い評価をしたいのは二周目以降のプレイをあくまでおまけ要素として、それでいて実用的なおまけ要素として『強くてニューゲーム』を搭載している点だろうか。単純に周回プレイをする為だけ(『エストポリス伝記』や『バハムートラグーン』辺り)の手抜き要素では無く、かといって膨大なサブイベントを回収する為に設置された救済措置(『テイルズオブシンフォニア』以降のテイルズシリーズ)でも無く、ましてや周回プレイが必須条件として隠し要素を仕込んでいる(『テイルズオブデスティニー2』)訳でも無い。時間移動の要素を取り入れ因果律操作をゲームの目的に据えている本作をよりお馬鹿に楽しむ為のお助け要素としてこのシステムが必然的に投入されている点が、俺としては評価出来るなぁとか思っている。