思い出の作品達 九十二回 「エストポリス伝記」

エストポリス伝記

エストポリス伝記

 
 
 『思い出は・・・また作ればいいんですから』と感動的なエンディングが印象に残る名作RPG
 続編の2と合わせて、SFC時代における屈指の王道的筋書きの作品として少なからずの賛同者を今も世に残している。
 
 冒頭にて流れる99年前の決戦、そして勝利……と、悲劇。
 子孫に受け継がれる宿命の敵、そして悲恋の運命。
 幼き頃より共に在った一人の少女、旅路において出会う事となった二人の仲間。
 その四人を以って挑むは、かつて英雄が打ち倒した狂いし四柱の神。
 
 100年の時を越えて繰り広げられる人と神の闘争、鍵を握る一振りの刃。
 世界の命運を賭けた、大いなる戦いの火蓋が再び始まる……
 
 さて、システム的にもシナリオ的にもRPGの王道を征く本作。サウンド面やビジュアル面でも及第点以上の質を持つ……それぞれ単体で持ち出せば凡作に毛が生えた程度の出来ではあるが、その各要素が互いに交じり合い高め合い、彼の如くの名作を形作っている。 ゲームとは音楽でも映像でも脚本でも仕組みでもなく、その全ての集合体である事を我々に教えてくれる作品……ある意味、DQ5までの「ドラゴンクエスト」シリーズをしっかり見習って作られた作品と言えるかもしれない。(6以降は迷走気味+時期がずれるので省く。)
 ただ、若干高いエンカウント率と幾つかのバグ(といっても普通にプレイしていれば気付かないレベルだが)が気になるところである。後者に至ってはシナリオバランスを大きく崩す代物なのでまともにプレイするつもりであれば手を付けないようにするべきだろう……まぁ、事前の情報無しにアイテム持ち越し(冒頭にて全宝箱回収+全装備を外してアイテム欄を埋める事で、最終ページの幾つかのアイテムを本編に持ち越せる)や多重装備(本編にてデュアルブレードを入手する際にアイテム欄を完全に埋めておく事で、その時に主人公が装備している武器の攻撃力が重ね掛けされる(ただし、デュアルブレードを持ち越して装備していた際には無効))に気付く奴も凄まじいとは思うが。
 
 どうでもいいが、クリア後の特典は微妙。四倍モードになったところで、試すべき相手居ないしな。