思い出の作品達 第百ニ十回 「幽☆遊☆白書」

幽☆遊☆白書

幽☆遊☆白書
幽☆遊☆白書
ナムコ 1993-12-22
売り上げランキング : 13772

おすすめ平均 star
star格闘の章よりもオススメできます。
starリアルタイムで行われる 『コマンド入力式』の格闘
starいつでも見られるところが良い

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
 ところで、「HUNTER×HUNTER」は俺たちが生きている間に完結するのだろうか。
 
 そんな冨樫義博の出世作である「幽☆遊☆白書」の初ゲーム化作品。RPGでもACTでもADVでも格闘ゲームでもなく、何と言うか不思議なゲームである。一応ジャンル的にはADVの変種になるのだろうか。近いシステムのゲームを寡聞にして聞いたことが無いから何とも表現し辛いが、敢えて例えるならば『操作にリアルタイムでゲーム性のある「3×3EYES 吸精公主」(というか版権モノADV)』といった感じ。十字キーによるゲージ操作と各ボタンによるコマンド操作を組み合わせて行動を決定し敵と戦う……筈。
 グラフィックやボイスはアニメ準拠となっており、上記に挙げたシステム等と合わせて鑑みるにアニメから入った(あまりゲームに興味が無いであろう)購買層に向けて簡単にプレイ出来て、アニメを髣髴とさせる内容を楽しんで貰える様に製作された作品であろうことが想像出来る。だが、経験上その手のゲームは極めて高確率で駄作と化す訳で。
 
 ストーリーは霊界探偵就任直後〜暗黒武術会まで。単行本10冊程になる。
 流れとしては原作のダイジェスト的なものとなっており、別段ifストーリーな展開が待っていたりはしない。
 CVや演出効果等も(ハードの性能もあるが)原作やアニメ版準拠となっている……いやぁ、ゲーム化する意義を感じない企画内容だよなぁ、こうして書くと。とっつきにくい部分があるにせよ、ある程度原作(あるいはアニメ版)的な先頭を楽しむことは出来るが、格闘ゲームの様に自分で激しく操作出来る訳でもない。よくある版権モノなゲームにある様に独自展開がある訳でもなく、ただただ原作をばっさりカットした筋書きを辿るだけ。これがそこそこ売れたというんだから、当時の幽遊白書の人気の凄まじさが伺える。
 
 まぁ、凡百の版権モノや量産モノに比べれば(当時としては)異色であり挑戦的でありそれなりの魅力があったことは認めなくも無い訳だが、だからといって決して高い評価が出来る作品ではない。簡易(且つ運の要素もたぶんに絡む)なシステムはゲーム性の欠如に繋がり、中途半端に導入したゲーム性はプレイの煩雑さを増すだけとなる。いっそこれなら、『微妙に音声や映像/画像演出を付加したコマンド制ADVゲーム』として製作した方がまだしも安定度があったのではないかと思えてならない。
 尤も、文句を言いながらも当時の俺は結構楽しんでいたような気もする。何だかんだといって版権モノとしては出来は上々だったのかも知れない。