思い出の作品達 第百三十六回 「ワンダープロジェクト J2 コルロの森のジョゼット」

ワンダープロジェクト J2 コルロの森のジョゼット

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 前作、「ワンダープロジェクトJ ~機械の少年ピーノ~」の続編にあたる作品。
 作中時間もそれに伴って15年ほど経過している、世界観としては前作二周目のB ENDからの派生っぽい。
 (ピーノがティファニーの子供に転生するEnd、満点だとその場で人間になるんだったっけか。
  因みに、本作主人公のジョゼットの人工頭脳は前作のサポート役であるティンカーのそれであったりする。
  後、更にどうでもいいことだが、中の人はピーノ・ジョゼット共に日高のり子だったりする。)
 発売前後のプロモーションの失敗により、凄まじい勢いでワゴン行きになった不幸な作品。
 システムやシナリオ等、高く評価できる要素が詰まっているだけに惜し過ぎる結果と言えるだろう。
 
 さて、本作はコミュニケーション型のADVゲームであり、前作と同じく『ギジン』である主人公・ジョゼットに対して、
 様々なアイテム等を提示してリアクションを観察し、それらの行動に是非を伝えて記憶・成長させていき、また、それらの行動に応じてパラメータを調節して目的に応じた能力を身に付けさせていく育成ゲームである。育成に用いるアイテムや育成の目的は様々に分かれており、運動能力・思考能力・感受性など、目的に応じた分野を成長させていき、目的を達成するのに必要な能力を身に付けさせる必要がある。
 前作において、それらの育成が一連のゲームストーリーとして括られていたのに対して、本作ではある程度の流れはあるものの、基本的には育成はかなり自由に行うことが出来、それに伴うイベント消化も大半が順不同で行うことが出来る。これは前作が『主人公(ピーノ)の成長』を主題においた作品だったのに対して、本作では『主人公(ジョゼット)とのコミュニケーション』を主題においた作品へと重心がシフトしている事に起因すると思われる。
 ただ、惜しむらくは『主人公(ジョゼット)とのコミュニケーション』を強調しすぎて、所謂ギャルゲーとしてプロモーションを大々的に打った事だろうか。確かに当時はPCE→PSで大ヒットを飛ばしていた「ときめきメモリアル」その他、ギャルゲーの勢いが全盛だった時代ではあったものの、そもそもギャルゲーの市場というのは非常に小さく、また一般層からの偏見が酷いジャンルでもある。これによって前作ユーザーからの反感と一般層からの偏見を受けて、売り上げは非常に悲しい結果となってしまった。というか、ジョゼットのキャラクターデザインじゃ無理だろ。
 (穿った見方で考えるなら、ギャルゲーの層を上手く取り込む為にスマッシュヒット作の続編を観測気球として挙げたマーケティングと取れなくも無いが……そうであったとしても、あのプロモーションは単純に酷い。普通に前作ユーザーとライトユーザー層を敵に回す為にやったと言われても仕方ないと思うんだが、如何?)
 
 システムとしては前作のそれを殆ど共有しており、前作ユーザーならば滞り無くプレイする事が可能だろう。
 尤も、前半のコミュニケーション部におけるミニゲームにて、凝り過ぎたモノがあったりするので注意。
 (海底探索にドッグファイトなど、何故にそこまで頑張るよと思える代物が収録されている。)
 シナリオは上記の通り、前半は結構自由気侭にジョゼットの育成を楽しむ事が出来、成長度や進行度合いに応じて島の各地にてイベントを攻略していく事になる。一応、メインストーリーらしき代物も存在し、徐々に何故ジョゼットが本作の舞台であるブルーランドに行かされたのか、前作の舞台であったコルロ島はどうなったのか、等が明らかとなっていく。因みに、このイベント攻略(に伴う達成度)の割合に応じて最後のエンディングが分岐する仕様だった筈。
 ただし、問題はシナリオ後半部に存在し、ぶっちゃけて言えば「ゼノギアス」。しかも途中のイベントが高難易度というオマケ付き。
 迷路で幾度と無くゲームオーバーになったのは今でも忘れん。アレは酷かった。
 明らかに前半で力尽きた感が漂ってる気がするのは俺だけだろうか。いやまぁ、展開自体は美味しい王道なんだが、ゲームとしては駄目過ぎる。ゲームとしては前作の方が最後まで頑張ってたと言わざるを得ない。尤も、作品としての力の入れようは本作も凄いんだが。ROMカートリッジの高速読み出しを活かした様々なアクション/リアクションアニメーションはN64ならではだろうし。(それだけに「ゼノギアス」的展開には異論を投げかけざるを得ない、アレならN64というハードの機能も、本作のコンセプトも活かせなくなってしまう。)
 
 ともあれ、前作ともどもコミュニケーション型ADVというジャンルを打ち立てつつも爆死してしまった本作。
 製作会社も解散してしまった今となってはリメイク/続編を望むことは厳しいものがあるが、せめてVCでの配信ぐらいどうにかしやがれ■e。
 流石に本作をプレイする為だけにN64毎購入というのはお勧め出来ないが、どうせ安く売っているだろうし、
 新品特価や中古でもコントローラパック付きで安く売っているのならば、何かのついでに購入することぐらいはお勧めする。