思い出の作品達 第百四十一回 「ロックマンX」

ロックマンX

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starロックマンXジェネレーションの幕開け
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star名シリーズの原点

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 俺の中で「ロックマン」と言えばFCの4までと、SFCのXシリーズがパッと思い浮かぶ。(DASHは別枠。)
 特に、本作については結構な数をプレイした覚えがあり、冒頭ステージに至っては脳裏にステージ構成が焼き付いていたり。
 何と言うか、凄ぇ格好良くサイバーパンクしてるんだよなぁ、Xシリーズって。
 
 本作はSFCにおいて人気を博していた「ロックマン」シリーズがSFCにて装いも新たにスタートさせた作品である。
 「ロックマン」シリーズよりも一世紀程時代が下った世界を舞台とした、サイバーパンクな硬派Actである。
 元来、難易度の高さと様々なステージ上の仕掛けの数々、或いは緻密に書き込まれた背景グラフィック・キャラクターモーションや自然と耳に残る心が沸き立つBGMにおいて定評のあった無印シリーズを進化させ、高いテーマ性や物語性を付加して『勧善懲悪』な予定調和進行の英雄譚から若干軸を、対象年齢層を上へずらした意欲作となっている。悪く言えば中二病が進行したとも言うが。
 この高いテーマ性やシリアス度の高いシナリオ・作品設定を軸にしたサイバーパンクな世界観は一部ファンから今尚高い支持を受けており、現在でも本作の続編シリーズの続編たる「ロックマンZX」シリーズとして進行中である。尤も、「ロックマン」から最新シリーズである「ロックマンゼクス」(更に付け加えるならば「ロックマンDASH」)に至るまで同一世界を舞台とした設定とはなっているが、初代「ロックマン」シリーズから作品の演出傾向を大きく変えた本「ロックマンX」シリーズは半ば別物(実際、「ロックマン」シリーズと「ロックマンX」シリーズは並列にてリリースされていた)ではあるし、更には「ロックマンZero」「ロックマンZX」に至っては主人公がロックマンでもエックスでも無かったりする(「ロックマンX」において主人公の親友として登場した『ゼロ』が主人公、まぁ、そのものでは無いが)訳で、正統な続編が続いているというよりは、スピンオフにスピンオフを重ねているといった印象があったりする。
 さて、Actゲーム作品としてはそれまでに培ってきたアクションや操作感はそのままで、更に壁蹴りやダッシュ(後のシリーズ作では更に空中ダッシュ)といった新アクションを追加し、プレイヤーの爽快感を増す作りに成功している。また、高難易度ながらも『見極めれば、手に覚えこませれば突破出来る』というActの基本原則をきっちりと守ったバランス調整の妙は見事であり、初心者でも何度も挑戦していく内に次第と上達してゆく楽しみを味わう事が出来るだろう……敷居は若干高めではあるが。
 BGMもFCから一気に使用可能音源・同時発音数が増えた事によって、より熱さと疾さを増した盛り上がる楽曲がこれまた心躍る効果音と共に鳴り響き、FC時代から定評のあったキャラクターの細かいモーションなどドット絵アニメーションにも更に磨きが掛かっている。この辺りのリアルタイム演出の上手さはActゲームに拘りのあるCAPCOMならではといったところだろうか。
 
 冒頭でも書いたが、俺にとって本作は冒頭ステージの思い出が凄まじく強い。
 イントロが格好良く響き渡る中、舞台に降り立つエックス。BGMと共に高速道路を駆け、イレギュラーを蹴散らしながら先へ向かっていく高揚感。突如現れる中ボスと、撃破後に崩れ落ちる橋桁。シリーズ初の壁蹴りにて橋脚を登っていく時の驚きと感動。ステージ終着点で突如登場するVAVAとの戦い、すわ敗北かと思った瞬間に登場する「ゼロ」……無論、思い出脳内補正が強く働いている部分も大きいが、それでも90年代中盤におけるAct業界において一際強く輝いていた作品だったと、俺は今尚思っている。
 
 現在ならばPSPにて「イレギュラーハンターX」としてリメイク作品が販売されているので、比較的手に入れやすいだろう。
 しかしながら、90年代のドット絵による演出があってこその作品だと、俺は強く主張したい。是非ともSFC版をプレイされたし。