白貌の伝道師

Nitro+虚淵玄による書き下ろし小説、ジャンルは正統派ファンタジー。
何と言うか、帯の鋼屋ジン氏の評を引用するなら「全ての虚淵はどす汚れている!」、著者本人の評をあとがきから引用するなら「愛、惨敗である」。
これまで著者の執筆・監修した文章はいかなる過程を辿ろうとも最終的には愛が勝ってきた……まぁ、愛自体が激しく歪んでいたりしてハッピーエンドとはいえない形であっても、という但し書きをつけなければならないが。
だが、今回の作品は愛は無いらしい。愛があるべき場所に代わりとして挿げられているのは狂信、少なくとも私はそう感じた。詳しくは本書を実際に読んでもらうとして、この場で言える事は「愛は惨敗かもしれない、だが愛が無くとも幸福では無いとは言い切れない」
上の感想から伺えるように結末の内容は悲惨と捉えることが出来るかもしれない。だが、それでも読後の清涼感を損なうことが無い辺り物語としての完成度の高さをうかがわせる……のだろうか。
後、著者の過去の作品では戦闘描写の迫力や緻密さが魅力の一つであったが、当然それは得物を銃から剣へと取り替えても全く損なわれてはいない。寧ろ、凄絶さが増した感さえある。
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