思い出の作品達 第三十六回 「シャドウゲイト」

シャドウゲイト

シャドウゲイト




 『つかう>つるぎ>セルフ』で死ぬ『しんのゆうしゃ』なんて、多分この作品にしか居ないと思う。
 と言うか、そもそも『しんのゆうしゃ』を自称するようなキチガイ勇猛果敢な人間自体、この作品にしか居ないだろうしな。
 まぁ、その頭の温かさ加減が当時ガキんちょだった俺達の心を鷲掴みして、日夜彼の虐殺に励ませるぐらいには印象に残った訳だが。
 ……あ、よく思い出したら、本作クリアしたの最近になってからっぽい。
 
 さて、一応本作は(総コマンド数制限付き)総当り方式AVGで、マルチデッドエンドシステムとも呼ぶべきシステムを内蔵した画期的な作品である……何せ、その死にっぷりは洋ゲーらしく見事なもので『落とし穴に落ちて死ぬ』『鮫に食われて死ぬ』『モンスターに襲われて死ぬ』等と言った一般的なものだけならまだしも、『(剣と魔法のファンタジーなのに)宇宙空間で酸欠死する』『たいまつの火が消えたら騒ぎまわった挙句転倒死する』『自分の初期装備である剣を装備しようとしたら、胸を突いて死ぬ』など、本筋の内容に関係ある部分よりも死に様の描写についての方がテキスト量多いんじゃないか、等と疑いたくなるぐらいに様々な要因であっけなく死ぬ。
 また、本作は全て主人公の語り口を持って物語が進んでいく(上記に挙げた死に様も含めて)のだが、アレだけ阿呆な事でぽこぽこ死ぬような頭の悪い男であるからして、通常のシナリオ上でも碌な事を喋らない。曰く『ヘタレ』『ダジャレ好き』『一人ノリツッコミ』など、果たして冒険をしているのか下手なコントを眺めているのか判らなくなってくること請け合いなテキストに、一度でもプレイすれば魅了されることだろう。

 スペランカーと並んで、レトロゲーマーの間で広く親しまれ愛されている『しんのゆうしゃ』の活躍を、是非ともご覧あれ。