思い出の作品達 六十八回 「ヘラクレスの栄光3 神々の沈黙」

ヘラクレスの栄光3 神々の沈黙

ヘラクレスの栄光3 神々の沈黙

 
 
 FF7の野島氏がシナリオ担当ディレクターを務めた作品で、同シリーズ中最高の評価を得ている作品でもある。
 シビアな(在りし日のRPGを髣髴とさせる)戦闘や謎解きのバランス、その後(「新世紀エヴァンゲリオン」〜「Final Fantasy 7」辺りを経て?)一世を風靡した『自分探し』を主題としたシナリオなど、完成度の高い作品。殊、終盤からエンディングに掛けての流れは想像の余地を多数残しながらも描くべき部分をしっかりと描いていると思うのだがどうだろうか。或いは序盤からの伏線をきっちり全部回収して(物語を物語の中で完結させて)きっちり終劇させる手法など、見事な手腕と評すべきだろう。
 14年前(1992年発売)の作品なので、グラフィックやサウンドにおいては現行機種に適う要素は一つも無い。しかしながら、難しい漢字が使えなくとも/綺麗な画像や目を見張る演出を用いなくとも/生音に近い豪華音源を用いなくとも、人に感動を与えることが出来る……それを思い出すべきではないだろうか。(つか、野島にしろ松野にしろ、近年の□は引き抜いたシナリオライターを食い潰しすぎだ。)
 
 本音を言うと、終盤のどんでん返しが無ければ駄作認定してもいいと思うけれども。
 それだけに、途中を投げ出さず最後までプレイした人々から惜しみない賛辞を送られる作品といえるだろうか。