思い出の作品達 八十五回 「ドラゴンクエスト6 〜幻の大地〜」

ドラゴンクエスト6 幻の大地

ドラゴンクエスト6 幻の大地

 
 
 DQ史上において印象の薄さでは随一な作品。
 ……いや、単純に俺がプレイした回数が少ないだけなのかもしれないが。(2周ぐらいしかしてないし。)
 5において人気を博した仲魔システムと3において登場し再登場の希望が高かった転職システムを融合させたシステム。
 現実と夢の二つの世界を行き来して、片方での行動がもう片方の世界に影響を与えるというリンク要素をふんだんに用いた仕掛け。
 『文字通りな自分探し』と『世界を救う』という流行の要素と王道を並行に描いたシナリオ。
 
 しかしながら、転職システムと仲魔システムを同居させる事により『個性的な仲魔を集めて己好みのパーティを作る楽しみがスポイル』され、固定パーティシステムと転職システムを併用する事により『各々キャラクターの特徴がスポイル』され、更に開発期間が厳しかったのかシナリオ面での個々のキャラクターへの掘り下げが(中盤以降〜殊、ミレーユの過去イベントなどにおいて〜)不十分であったりと、態々固定の人間キャラクターを使う理由が殆どなくなっているという難点が存在する。固定パーティシステムを用いるならば2・4・5において用いた様に『各キャラクター間の特徴』を最大限に描いてプレイヤーに選択する楽しみを与えなければならない/転職システムを用いるならば『職業間の特徴』描いて相対的な性能差を出す代わりに絶対的な強者を作らないというバランス設定が重要になる。そういった面において本作(と次作)は大きく失敗したシステム構成をしていると言えるだろう。
 
 音楽・画像・大筋の脚本においてはDQシリーズの水準を満たしているにも拘らず、本作が批判も賞賛も(シリーズ他作品に比して)受けない理由は、まさに上記の一点にあるのではないだろうか。