思い出の作品達 九十一回 「新桃太郎伝説」

新桃太郎伝説

新桃太郎伝説

 
 
 「桃太郎伝説」シリーズの(今のところ且つ恐らく)最終作であり、唯一のシリアス主体のシナリオを持った作品である。
 初回作から前作まで、ついでに言えば「桃太郎活劇」や「桃太郎電鉄」シリーズ等においてギャグ一辺倒だった本シリーズにおいて異色とも思える程に硬派で重いテーマを持った作品として作り上げられている。
 
 シナリオとしてはPCE版のシナリオからではなく、FC版のシナリオの続編となり『鬼が島にてえんま大王を懲らしめた桃太郎が、再び立ち上がり鬼族の野望と見え隠れするカルラの陰謀に立ち向かう』といった筋書きとなっている。上でも述べたが、FC「桃太郎伝説」の続編といってもシナリオの方向性はかなり変化を遂げており、その点ではある意味別作品と言っても過言では無い。尤も展開がシリアスだろうがコメディだろうが、シリーズ恒例の昔話ごちゃ混ぜな世界観は相変わらずで、桃太郎だけではなく金太郎や浦島太郎、三年寝太郎等の有名な『太郎』達から夜叉姫、阿修羅、風神雷神などの鬼族、果ては天邪鬼や貧乏神の様なお笑い担当まで多種多様な仲間達と共に冒険が可能となっている。
 システム的にはかなり快適であり、今となっては多少の不自由を感じる部分も有るがSFC中期のRPGとしては及第点以上の快適性と様々な仕掛け(天候システムや調子システム、或いは各種ミニゲーム等)が盛り込まれた作品となっている。殊にミニゲームは中々楽しい代物で、序盤〜中盤にてミニゲームにはまり過ぎて延々と金太郎の村に入り浸った思い出を持っている人間は少なく無いだろう。(そして、突然現れるボスに驚いてみたり。)
 さて、RPGを論ずる上で重要なバランスだが、本作はその点かなりシナリオ同様硬派な設定となっている。某無限行動の裏技や過度の稼ぎをしない限り序盤から終盤まで緊張感のあるバトルが楽しめる様な厳しい難易度となっており、特に文字通り序盤最大の山となる大江山辺りはは各種謎解きや頂上での決戦など、今でも印象深い。
 
 そう言えば、本作において気を付けなければならないのは攻略順は『金太郎の村』→『浦島の村』という点だ。というのも、リアルタイムにプレイしていた際、何を考えていたのか俺は金太郎を無視して浦島の元へ向かってしまい、少々苦戦したという変な思い出が有るからで、これから本作をプレイしてみる人は是非ともこの点に注意してもらいたい。東に行き過ぎる前に、西をちゃんと探索することを。(多分、そんな間抜けをするのはお前ぐらいだ。)