思い出の作品達 九十六回 「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」

ファイアーエムブレム 聖戦の系譜

ファイアーエムブレム 聖戦の系譜

 
 
 
 世代を越えて受け継がれる、意志。
 時代を越えて尚戦い続ける、光と闇。
 
 「ファイアーエムブレム」シリーズにおいて、俺が最も愛する作品であり最もプレイした作品でもある。
 親世代の避けられない悲劇も、子世代における数々の葛藤も、全てが美しい物語を織り上げている。公国の第一公子が主不在の隙を狙って攻め寄せてきた蛮族に対して義憤を以って兵を挙げ、紆余曲折を経て大いなる陰謀に巻き込まれてゆく親世代/亡国の皇子が、忠臣や親友達と共に希望の光となって圧政に苦しむ人々を解放してゆく子世代。単体のみでも十分な物語として成立する要素を世代交代を間に挟む事によって相反せずして両立させている見事な物語の構成、或いは個々の登場人物に仕込まれた愛憎入り乱れる人間関係等(若干綺麗に描き過ぎな部分はあるが)豊富な背景を元に描かれるドラマが魅力な本作。最終的には勧善懲悪となるものの、その部分にすら葛藤を仕込む脚本/演出は凡百の作品には無い味があると言えよう。
 また、子世代の戦力や世界のその後に影響を与える恋人システムや、騎馬部隊の再移動システムや武器使い込み(撃墜数カウント)による必殺発動システム、或いは広大な一マップ内において順次攻略目標が提示されていく(それまでの1マップ/1拠点に比較して)戦略の幅が大きく広がった攻略様式、はたまた毎ターンセーブなど、やり込むも良し/拘るも良し/妄想する思いを馳せるも良しな名システムが組み込まれている。
 更に、本作の物語を彩る要素として楽曲に触れない訳にはゆくまい。シナリオに合わせた各章のテーマ曲、通常戦闘の勇壮さや強敵相手の鬼気迫る戦闘曲、或いは冒頭に流れるシリーズテーマ曲など、相変わらずの名曲が揃い踏みしている。因みに、俺としては第5章『運命の扉』と終章『最後の聖戦』がお気に入りだったりする。
 
 シナリオ/システム/サウンド/グラフィックと全てにおいて良以上の評価を下せる本作。
 シリーズ屈指の名作だと思うので、是非ともプレイしてもらいたい。