思い出の作品達 百九回 「ワンダープロジェクトJ〜機械の少年ピーノ〜」

ワンダープロジェクトJ ~機械の少年ピーノ~

ワンダープロジェクトJ ~機械の少年ピーノ~

 
 
 
 ENIXから1994年の年末に発売されたゲーム内キャラクターとの擬似コミュニケーションを売りにしたADV。
 モニターの中のピーノ(主人公?)と現実世界の少年がキャッチボールをするTVCMに心動かされた人も多いのでは無いだろうか。
 
 童話「ピノキオ」をモチーフに人とギジンの関係を情緒豊かに描いた作品。
 様々な〜時にコミカル、時にシリアスな〜出来事を通じて、謎の『回路J』を目覚めさせていくピーノ。
 その過程で出会う多種多様な人々との触れ合いや、プレイヤーとのコミュニケーションを通じて、少しずつ『人らしさ』を形作っていくピーノ。
 されども、彼らの活動の舞台となる『コルロ島』ではギジンは人に差別される身。物語が進むにつれて、様々な現実が彼らの前に立ち塞がる事になる。
 そして、結末は……正直、泣いた。
 
 基本的には自立行動をとるピーノをインターフェース型ロボット(ぶっちゃけ、マウスのカーソルみたいなの)を操り、移動する方向や使って欲しいアイテム、注目して欲しい場所を指示し、それに対するリアクションにYES/NOで教育し、少しずつ『して欲しい/するべき行動』と『してはいけない/するべきではない行動』をピーノに教え込んでゆく。また、各行動をとる毎にピーノの能力が変動し、それによって例えば『筋力が上がったので、ボールを投げた際の距離や威力が上がる』『読めなかった本が読めるようになる』『人や動物に優しくなる』等、彼がとる行動やその結果に変化が生じる仕掛けとなっている。これにより、物語を進める上で必要な行動や能力をピーノに身に付けさせ、インターフェースによる指示が出来ない場所(物語の展開が生じるポイント)にて適切な行動を執らせ、ストーリーを進めていくのが基本的な流れとなる。
 尤も、単純に『必要最低限の行動や能力を付けて話を進めていく』だけがゲームの目的では無い。(無論、最も大きな目的であり、ゲームをプレイするモチベーションの根本たる部分ではあるが。)他にも『明らかに変な行動を覚えさせて人々の反応を楽しむ』『意味も無くピーノで遊ぶ』等、本作の遊び方は寧ろそういった本筋から離れた部分や本筋を進める上で障害となる要素にこそあると言っても過言では無い……いや、本編のストーリーも感動的だし、二週目では無駄な日数を省く必要があるからアホな事をしていられなかったりするけどさ。
 
 あぁ、どうでもいいが『続編(の後半)は無かった事にしたい作品』として俺の中で高ランクに位置していたりする。