今日の小説 「冬の巨人」

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)

冬の巨人
冬の巨人
古橋 秀之

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 店頭に並んでいたのを発見するや否や即購入。本当にいつの間にか発売していたって感じだな。
 にわかとは言えどもフルハシストの一人として待ち望んでいた作品だけに、店頭で発見した時のワクテ感は筆舌に尽くし難い。
 
 何と言うか、本当に起承転結の付け方が上手い人だよなぁ。テーマを料理する技術に長けているというか。
 まぁ個人的には『もう少し各人物や設定、展開を掘り下げてほしかった。上下巻ぐらいの分量で。』とか思わなくも無いんだが、蛇足になりそうだとも思ってみたり……アレだ、この感覚は「ある日、爆弾が落ちてきて」を読み終わった時のソレに似ているような。その、『満腹になるまで食い倒したいのに、腹八分目で終わった』とでも表現しようか。例えとして適当かどうかは判らんが、「刃鳴散らす」に対する要望に近い。設定は細部に色々あるのに、それをあっさり切り捨てている贅沢さが、少々ニクい。
 
 個人的に印象に残ったシーンとしてはラスト前のウーチシチの行動とか。今一つ影が薄いような彼だが作中でオーリャが辿ってきた道筋と己の対比であったり、事を理解していてなお道を貫かんとする生き様に漢を感じる。尤も、欲を言えばあそこにはインタールードを入れて青空の元で神を幻視する彼のモノローグとか一枚絵が欲しかったような……って、この発想はADVゲームを論じるそれに近いなぁ俺。
 
 何だかんだと、言いたい事は色々あるが。軽く読めるが何度も読み返したくなる、良作な御伽噺。