思い出の作品達 第百十一回 「魔界塔士Sa・Ga」

魔界塔士Sa・Ga

魔界塔士SAGA
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 『かみ』殺しの刃と言われてチェーンソーを思い浮かべる、これはもはや常識。(狭い世間でだが。)
 まぁ、リメイク版だとちゃんと一撃死耐性あるらしいから、ガチで闘わざるをえない。
 
 本作は、SFC、PS、PS2と続く『Sa・Ga』シリーズの初代作であり、データ容量・機種性能共に『(当時、進化し続けていた)RPGを出すには厳しい』とか何とか思われていたゲームボーイにてリリースされ、見事に商業的成功(SQUARE-SOFT初のミリオンヒット)をおさめた記念すべき作品である。因みに、その後独特の疾走感と重厚さを併せ持つサウンドで人気を博するイトケンこと伊藤賢治氏はまだ参加していない。本作の楽曲はノビヨこと植松伸夫氏によるものである。(故に、サウンド面ではその後のシリーズとは一風変わった印象となっている。)
 斬新さを求めたシステム面においてFF2の独特なランダム性の強い成長システムを改良したものを採用しており、資金次第で任意に成長が可能な人間・FF2の成長システムの延長上にあるエスパー・本体と『肉』の掛け合わせによって様々に能力を変えるモンスターの三種のユニットを自由に組み合わせたパーティで冒険を楽しむ事が出来る。また、戦略的な要素として武器や能力に『使用回数制』が取られているのも特徴だろうか。それまででも「覇者の封印」や「ヘラクレスの栄光」、或いは「ファイアーエムブレム」などで採用されていたシステムであり、ダメージ源ほぼ全てに回数制限を加える事によって作業化しやすい戦闘に思考する余地をとらせたのも当時としては珍しかった。
 サウンド面では前述の通り植松伸夫氏を起用しており、貧弱な音源ながら場面に応じた見事な楽曲が提供されている。まだ発売間も無い機種(しかもスペック的には厳しい面を持つ)GBにおいてこれほどに完成度の高い楽曲を生み出せる辺りに、FC初期から経験を積んできた氏の底力を垣間見る事が出来るだろう。
 シナリオ面では、それまでRPGと言えばまだまだ剣と魔法の世界が主流だったあの時代において、剣と魔法を主軸にしながらも現代的の要素を混ぜ込み、更には近未来な香りも漂う混沌とした世界観となっている。また、台詞回しも独特であり『なんの ようだ』『かねが たんねーぞ』や『いうまでもなかろうよ!』『おめでとう(ry』など、記憶に残る会話が多数詰め込まれている。これらは少ないデータ容量を活かす為にとにかく文章を削りに削ったが故に生まれたとの話を聞いた事があるが、話の整合性を持たせつつ文章を削って、尚且つ台詞回しにセンスを感じさせる推敲振りには中々に感嘆の念を抱かざるを得ないだろう。
 
 さて、俺にとっての本作だが……色々とあるなぁ。
 例えば、海洋世界の謎々が中々に解けなかったり、青龍を中々見つけられなかったり(仕掛けを読めなかったのが一つ、仕掛けを読んだ上できっちり一マスずれた場所を調べまくって全滅しまくっていたのが一つ)、デスマシーンに虐殺されたり、どうしても『かみ』が倒せなかったり(行動パターンを把握せずにガチで戦うと結構強敵……いやまぁラスボスなんだけどさ)、かといって神殺しの存在を知った後は楽勝過ぎて困ってしまったり……欠片欠片の思い出だが、今も脳裏に鮮やかに刻まれていたりする。何せ、ちょっと思い出すだけでオープニングの旋律が脳内に響き渡るしなぁ。
 
 WSCでリメイクされたが故に若い層では未プレイな人も多いと思うが、GB初期の名作RPGであり、今尚プレイするに耐える質を保っていると保障可能。
 中々手に入れる機会も無いとは思うが、縁があれば一度は遊んでもらいたい名作であろう。