思い出の作品達 第百二十六回 「スーパーマリオブラザーズ3」
スーパーマリオブラザーズ3 | |
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売り上げも(初代には及ばないものの)堂々のFCソフトとしては第二位の国内384万本/海外1784万本。何というか、本当に少しは自重しろと言いたくなる数字である。国内歴代売り上げでも未だにかなりの好位置につけている筈だし。(と思って調べてみたら、歴代12位/マリオシリーズとしては4位だった……「スーパーマリオブラザーズ」680万本と「Newスーパーマリオブラザーズ」480万本は予想通りだったが、「スーパーマリオランド」419万本と意外に売れてるのな……というか、売れ過ぎ。こんな化け物シリーズの最新作に喧嘩を売った「オプーナ」は本当に愛するべき馬鹿だ。)
本作は2DACTのジャンルがやや勢いを失いつつあった(というか相対的にRPGの勢いが凄まじかった)1988年に発売されたFC用ゲームソフトであり、カートリッジタイプのFCソフトとしての「スーパーマリオブラザーズ」としては第二作目に当たる。即ち、あくまで『「スーパーマリオブラザーズ」を遊び尽くした人の為の追加パック』といった位置付けでリリースされた2とは違って、万民向けとして、天下のマリオシリーズの金看板を真正面から背負っての発売となっただけあって、その気合の入れ方は尋常ではない。
先ず、高容量のROMを用いた事によってグラフィック面においての爆発的な進化が見られる。『シンプルなドットで見栄えがする様に』といったコンセプトで設定されたマリオをパッケージ絵に近いカラフルでコミカルなシンボルとして描き出し、それに伴い他のキャラクターシンボルや背景等もFCの限界に近いレベルで鮮やかに書き起こされており、またそれらが非常に滑らかに動き回ってプレイヤーを楽しませ/翻弄する。
次に、ゲームとしての仕掛けだが元来左から右への一方向スクロール/右端にゴール地点の設置のみだったシンプルなステージ構成も大きく進化を遂げており、ざっと挙げるだけでも、
『左右へのスクロールが可能、つまり行き過ぎた場合も戻る事が出来る様になった。』
『上下のスクロールが追加、これによってより立体的な構成のステージが登場する事になる。』
『強制スクロールの登場、主に空中ステージに多く用いられる。
己の操作に拠らない自動的な画面送りによって、操作ミスを誘発させる歯応えのある面が登場している。』
『Bダッシュにパワーメーターが設置され、メーターを限界まで溜める事によって速度が上昇する。
また、後述のしっぽ/タヌキ形態ではこの状態において一定時間空を飛ぶアクションが追加された。』
『コース間を統括するワールドマップが追加、
すごろくの様な地図上を動かして各ステージの進行状況を視覚的に表現することに成功。
また、ステージ攻略にある程度の選択肢を発生させている。』
『ストックアイテムの登場、特定の場所で入手するアイテムをワールドマップ上で任意に使用出来る仕掛け。
キノコやスターの様な各種パワーアップアイテムや笛や雲といった攻略補助アイテムを保管しておき、
ワールドマップ上の好きなタイミングで用いる事が出来、己の得手不得手に応じた使い方が可能。』
『従来の三段変身に加えて、しっぽ/タヌキといった空を飛べる形態や
カエルの様に特定ステージで力を発揮する形態、ハンマーの様に強力な火力を持つ形態が追加。
上記のストックアイテムとしても入手可能で、ステージに応じて使い分ける事が出来る。』
『ミニゲームとして2Pプレイ時の「マリオブラザーズ」や絵合わせ、神経衰弱が挿入。
前者は対戦プレイが、後者は攻略に役立つ残機やアイテムが入手出来る。』
『二人プレイにおいて交代プレイの積極的な導入が見られ、
ステージクリアとミス時の2種類の操作交代が取り入れられている。
更に進行状況の共有/ゲームオーバー時の進行状況リセットが各プレイヤー毎となっている為、
協力してプレイする事が可能となっている。』
基本的なダッシュ/ジャンプこそ然程変わっていないが、追加要素の多さは目を引くところであろう。それでも尚、本シリーズにおいて最も根幹的で重要な『見ていて楽しい・触っていて楽しい・上手くなるともっと楽しい』といった面白さはきっちり押えられている。この辺りのバランス感覚は絶妙といっていいだろう。流石、順番に遊んでいくうちに、段々と操作になれてゆく事が出来るゲームの構成には定評があるといったところか。
(……尤も、ワールド6以降とかだと普通に慣れていても難しいステージが山を成していたりするけど。
ワールド8とか、鬼過ぎやしないだろうか。慣れていてもガメオベラ見えるしさ。)
ただ、本作は前2作に比べて上記の様に大幅なボリュームアップが成されているにも拘らず『バッテリーバックアップが未搭載』という弱点が存在しており、初心者やACTが苦手なプレイヤーにとっては若干敷居が高くなっている感が拭えない。無論、セーブデータやパスワード未搭載に対する救済措置としてステージ飛ばしのアイテム『笛』を序盤のワールドに設置していたりもするが、限られた時間しかプレイ出来ないユーザーにとっては『進行状況が保存できないにも拘らず、クリアまで数時間〜数日を要する作品』である本作のボリュームがまた敷居を高くする原因の一つとなったかもしれない。
しかしながら、知名度補正による売り上げも多いながらも、ただそれだけで400万本弱を売り上げる事は不可能であり、総合力を客観的に見ても今尚遊べる傑作の一つである事に異論を挟む人間は居ないだろう。前作共々、様々な形で遊ぶ事が出来るので、未プレイならば是非とも一度触れて貰いたい作品である。