THE S*O*R*N`s Diary 適当にまとめ その3

引用元スレッド

既にTHE W*E*R*D*N*A's Diaryな件について

 225 名前:Fuzz Ball ◆h4ThSfsM [sage] 投稿日:02/08/02(金) 20:56
  不本意ですが、この日記を放棄するのもしかたがないことだと思います。
  もし、ソーン様に続ける気があるのなら、
  この日記が倉庫入りしてしまったとしても、
  また、新しく日記を作ってくださるでしょうね。
 
  いつの日か、”ソーンの日記 Part2”ができることを祈っています。
 
  >223
  要するに、ワードナさんは、
  ”ソーン様とワードナ氏のラブラブ交換日記帳”
  を、作るつもりだったんですね。
  (↑ちょっと違うかな。)
 
  >224
  砂の王の続編はありませんか。残念です。
 
 226 名前:Fuzz Ball ◆h4ThSfsM [ワインそうこ] 投稿日:02/08/02(金) 21:01
  あ、でも、「森の宝珠編」の続きは聞きたいです。
  続き要求age。
 
   >225,226(Fuzz Ball)
   お主の意に添えぬのは、ひとえにわしの力不足によるものだ。すまんな。
   だがせめて、ここを去る前にお主の要望にだけは応えようと思う。
   とりあえず今日は5シークエンス分を載せておくぞ。
 

227 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/02(金) 21:56
 「でも問題は、峡谷を普通に渡るだけでも手間と労力がかかる事ね……」
 
 考え込むスマーダだったが、わしは特に逡巡する事もなくWINGED BOOTSの力を解放した。
 わしと魔物たちが宙に浮く。
 
 「あっ…………」呆気に取られた様子の女エルフ。
 「何をグズグズしておる? わしの魔法を受け入れる気があるなら、
  わしに触れWINGED BOOTSの魔力を受け入れろ」
 「じょ、冗談じゃないわ! お前なんかに触るくらいなら、
  このエント(木の精霊)に担いでもらったほうが1万倍はマシよっ!」
 
  わしを拒否し、スマーダはMIGHTY OAKによじ登って悪態をついた。
  ……とんだじゃじゃ馬だな。
 
228 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/02(金) 21:57
 峡谷を無事に抜けると、森の木の密集率が徐々に高くなっていった。
 道らしき道もなく、木々が巨大な壁となってわしらの行方を塞いでいるかのようだ。
 
 やがて、遠くから……地震にも似た凄まじい音が断続的に響くようになってきた。
 進むにつれ音は近くなる。耳を塞がねば痛く感じるほどの騒音だ。
 
 「いったい何なのだ……これは」
 
 スマーダが指さした先には……緑色の肌をした巨人が何十人も寄り集まって、
 巨大な斧や鋤を持って木を切り倒し、畑を耕しているという凄まじい光景があった。
 
229 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/02(金) 21:58
 「この巨人たちは凄まじい力を持っているわ」スマーダが解説する。
 「わたしたちウッド・エルフ族では到底太刀打ちできないほど凶暴でもあった。
  でも、父上の古くからの友人である『杯の王』が魔力を込めて創った
  あの『鋤』のお陰で、彼らは農耕の喜びに目覚め、この地に留まって平和に暮らしているのよ」
 
 そう言えば聞いた事がある……この者たちはただの巨人ではない。Djinnだ。
 「魔法のランプ」などで有名な魔神。
 中でもその凶暴性と圧倒的な力を古代の魔術師たちに見出され、
 戦争の際に多く駆り出されたというErhnam族のDjinn。
 
230 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/02(金) 21:59
 触らぬ神に祟りなし。とのスマーダの意見から、
 Djinnたちの集落は素通りしてわしらは「古の墳墓」を目指した。
 ところが……進むにつれ、段々と辺りの視界が悪くなっていく。
 その正体が霧である事に気づいた時には、すでにスマーダですら道を見失うまで先に進みすぎていた。
 
 「これはッ……『濃霧』の呪文だわ。わたしの弟エオルの得意技だった……
  迂闊だったわ。このままでは『古の墳墓』にたどり着くどころか、
  生きて戻れるかも怪しい……くそッ」
 
 スマーダは顔を歪めて呪詛の言葉を紡いだ。
 わしは咄嗟にMALORの呪文を使おうとしたが……
 なぜか邪念が混じり、精神集中ができない。
 どうやらこの霧には呪文封じの力もあるらしい。万事休すか。
 
231 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/02(金) 22:00
 突然、あちこちからガサガサと、茂みをかき分ける音が聞こえてきた。
 敵襲か……わしは配下の魔物どもに戦闘態勢を取らせた。
 スマーダ自身も油断なく弓をつがえる。
 霧で見えにくかったが、音の正体は、汚いボロ服を纏った小男の集団だった。
 
 「な、なんか金目になるもの、おいてけ。ゲッ、ゲッ」
 「オレたち、言う通り、しないと、森、死ぬまで、出られない、ゲッ」
 
 スマーダも正体に気づいたらしく、露骨に嫌悪の表情を浮かべていた。
 どうやらこいつらは、エオルと手を組んだというScavenger Folkどものようだ。
 
232 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/02(金) 22:03
 今日はここまでとする。
 続きは後日を待ってもらいたい。
 

 233 名前:以上、自作自演でした。[ROMでごめんなさいsage] 投稿日:02/08/02(金) 23:34
  終わっちゃうの?そ、そ、そ、そんなぁ!楽しみにしてたのに…
  キャラネタ板じゃなくてもどこかで続けて欲しいって思うのは…駄目?
 
  239 名前:以上、自作自演でした。[sageROM] 投稿日:02/08/03(土) 02:52
   このスレ落として太陽でチマチマとやるってのがベターかと。
 
    >233,239(別の板で続けるべきか)
    難しいところではある。
    少なくとも「森の宝珠」編は皆のお陰で完結まで書く事ができそうじゃが、
    それ以降となると……わしの関わっておる次元はここだけ、という訳でもないからな……
 
 234 名前:ENTELECHY FUFF[sage] 投稿日:02/08/02(金) 23:59
  いや、話し合いを呼び掛けた私が遅くなってしまって申し訳ない。
  今日はいろいろあったのでな。
 
  で、私の意見だが・・・
  私も残念ながら破棄せざるを得ないと思う。やはりスレ主が不在というのは大きい。
  誰かがソーンを引き継がない限り、このスレを維持していっても続かないだろう。今の現状を見る限りでは。
  大魔術師殿の言からすればソーンと共同でスレを進行させていく考えであったようだが、
  それができなくなってしまったのでは、発案者1人でスレを進行させねばならなくなってしまう。
  これでは保守し続けても大魔術師殿にとって負担だろうし、私もそれは望まぬ。
  とはいえ、1ヶ月の間は魔女の帰還を信じて私や多くの名無しさんが保守し続けたことから
  (それと私がオリジナル設定聞くのが楽しみなためというのもある・・・)
  魔術師殿にはかなり負担を強いたかもしれない。そうであったら誠に申し訳なく思う。
 
  結論としては、新たな引継が出ないのならばこのままdata落ちは仕方ないだろうな。
  WIZファンとしては残念だが・・・。
 
 235 名前:ENTELECHY FUFF [長すぎるので分割するsage] 投稿日:02/08/03(土) 00:01
  >わし自身のソーンへのアプローチの仕方も強引であった事は否めないからな
  上記の事で魔女が多少面食らったかもしれないとは思うが、
  それよりも魔女自身どのようにして協力して物語を綴ればいいのか解らなかったのではないかと思う。
  私が思うに魔女とメールで連絡を取り合う、
  もしくは太陽などでそなたがどのような方向性でストーリーを構築していこうと想定していたのかなどを
  具体的に魔女に指示すると良かったのではないかと思う。
 
  基本的に「魔術師ワードナを助けるためのアイテムを集める」というだけだから、
  指示されたアイテムを「4」の内容に従って集めていけばいいのだが、
  ただゲーム中手に入らぬアイテム等も含まれているが。
 
  上手く二人の考えが噛み合っていなかったのではないだろうか。
  私としてはそなたの提示したアイデアは面白いと思うし、
  その設定ならソーン、ワードナの2人が登場できる上、スレも息の長いものになるだろうし。
  魔女がこのスレにおける方向性を明確にしていなかったため、そなたがアイデアを提示することによって
  スレの方向性が定まったのも良かったのだが、急な事でソーンがそれについていけなかったという印象を受ける。
  オリジナルアイデアというのはTRPGでも難しいものだからな。
  公式設定を使用するならPL(このスレでいうなら参加しているコテハン・名無しさんなどに当たる)に
  共通の知識があるため参加し易くなるが、オリジナルとなるとそれが無い分、
  なかなか参加し難くなるのかもしれない。
  ただ前スレの最後で異次元に旅立ってしまったから、
  難しいといってもオリジナルでいかざるを得なかったのだろうとは思う。
 
  「4」の迷宮でアイテム探しがメインになれば活発になったのかもしれないが・・・。
  個人的には非常に興味深い設定だったので(私がTRPG畑の者だからということもあるかもしれない)
  『森の宝珠編』で終わりになってしまうのは正直寂しい。
 
 236 名前:ENTELECHY FUFF[分割sage] 投稿日:02/08/03(土) 00:06
  >222
  むう、ファズボールめ。ティルトウェイト製造機はわかるが、デーモンロードキラーは認めんぞ。
  私はまだ負けたわけではない!魔界で今も人間界進出を狙っているのだからな・・・。
 
  急いで書いたので、自分で読み返してみてかなり分かり難いが(苦笑
  私の書き込みで不快感を持った者がいたら申し訳ない。
  特に大魔術師殿には、いつもただ保守するだけの私が好き勝手にズケズケとものを言ってしまった。
  気を悪くされたら大変申し訳ない。
 
  後はここに来る名無しさん達の意見を待つとしよう。
 
   >234-236(ENTELECHY FUFF)
   そう畏まる事はない。忌憚なき貴重な意見を大変感謝する。
   そうじゃな……別の板(太陽)での連絡調整という手も悪くはなかった。
   惜しむらくはそうした案や細かい取り決めを考える前に連絡が途絶してしまった事か。
   もはや過ぎた事はどうにもなるまいが……
 
   あと、お主の指摘どおり、この話はどちらかと言えばTRPGの色が強い。
   わしもその昔、マスターとして様々なシナリオを練っていたのでな。もはや懐かしい話ではあるが。
 
  237 名前:以上、自作自演でした。 投稿日:02/08/03(土) 00:10
   えらく腰の低い魔王だな(w
   それはともかくとしてこのまま終わっちゃうのか・・・
   誰かソーン2やってくれ〜
 
  238 名前:以上、自作自演でした。[マグナムage] 投稿日:02/08/03(土) 01:26
   何か他に道はないのだろうか・・・。
 
    >237,238(何か他の道は〜)
    むざむざこのスレッドを捨てる事は、わしとしても不本意なのだ。
    過程はどうあれ、結果的に「昏沌の王」に膝を屈する形となってしまったのだからな。
    関係ないかもしれんが、某週刊誌で打ち切り宣告を受けた漫画家の気分じゃ。
 
 246 名前:以上、自作自演でした。[sage] 投稿日:02/08/03(土) 21:51
  最早どの次元においてもワードナ様の話を伺う事はできないのか…?
 
   >246(最早お話を伺う事はできないのか?)
   いつまでもわし一人が「ワードナ」としてやっていく訳にも行かぬであろう。
   わしもたまにはBUBBLY SLIMEになりたい時だってある……というのは冗談だが。
   (現実問題、スレ主を引き受ける時間的余裕がないのは事実なのでな……)
 

240 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/03(土) 08:57
 「この恥知らずの蛮族め! お前たちに略奪されるぐらいなら、
  わたしは進んで自らの死を選ぶわッ!」
 
 本気で自決しかねない勢いのスマーダを、BLONDYたちに取り押さえさせた。
 呪文を使えぬ上、ここでゴミあさりの一族を殺してしまっては、
 本当に一生森から出られなくなる可能性もある。
 連中の持ちかけた「取引」には応じねばなるまい。
 だが、その前に確認したい事があった。
 
 「この霧の中、どうしてわしらの居場所が分かった?」
 「霧、出る、タイミング、ここ、通る奴、いたとき」
 「お前たちは『古の墳墓』に住むエオルを知っておるな? 奴の差し金か?」
 「違う。オレたち、生きるため、お前、襲う。金、奪う。エルフ、オレたち、裏切られた!」
 
 「エオル」の名を出した途端、ゴミあさりどもは憤慨したように鼻息を荒くした。
 ……どうやら、ここに付け入る隙があるようだな。
 
241 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/03(土) 08:58
 ゴミあさりどもの話では、エオルは連中に「古の墳墓」でMox Diamondを発掘させた後、
 約束の報酬すら払わずに自分たちを皆殺しにしようとしたらしい。
 その際、ゴミあさりと一緒に墳墓にいたBASILISK
 (危険な砂漠の魔獣なのだが、ゴミあさりどもにとっては貴重な「収入源」だとの事だ)を
 徹底的に乱獲したのだという。
 
 それで食い詰めて、わしらを襲ってきたわけか……
 
 「どうだ、お前たち。エオルに復讐したいとは思わぬか?
  もしわしに『古の墳墓』へ通じる道を教えるなら、
  お主らの満足のいくだけの報酬を支払おう」
 
 スマーダは下賎なゴミあさりと交渉する事じたいに我慢がならなかったようだが、
 こうする以外に森から脱出する方法はない。
 その事を目配せすると、さすがに押し黙った。
 
242 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/03(土) 09:00
 ゴミあさりたちは、寄り集まってしばらくヒソヒソと会話を続けていたが、やがてこう言った。
 
 「オレたち、墓、入れない。でも、入るため、やり方、知ってる。危険、大きい」
 
 連中の語った「古の墳墓」への侵入方法は、確かに危険すぎるものだった。
 なんと、先ほど集落にいたErhnam Djinnたちの持っている魔法の鋤を奪い、わざと怒らせるというのだ!
 
 彼らの言い分によれば、Erhnam Djinnの縄張りに誤って入ってしまい、執拗に追いかけられた事があり、
 木にぶつかりそうになったと思った瞬間、木をすり抜ける事ができたという。
 
 ……わしとした事が、すっかり失念していた。
 Erhnam族のDjinnは、己が力を誇りすぎたため、神々の怒りを買い呪いをかけられた。
 獲物として襲おうとした生物に「森を渡る加護」を授けてしまうという呪いを……
 
 つまりDjinnの持つ呪いの加護を利用して、「濃霧」の呪文のかかっている正規のルートを迂回し、
 直接密集した樹木の「中」を通過して墳墓へたどり着こうという計画である。
 
243 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/03(土) 09:01
 しかし、集落には以前ゴミあさりが侵入した事があるため、Djinnたちは余所者を警戒しているという。
 またDjinnの扱う魔法の鋤は、彼らの身体に見合った巨大なサイズであり、
 いくら掠め取りが得意なScavenger Folkといえども、ひとりだけ行って盗んで戻ってくるという訳にもいかない。
 かといって、集団で盗みに入ろうとすれば、それこそ見つけて下さいと言っているようなものだ。
 
 わしもThiefではないため、盗みの技術に自信があるわけではない。
 それにただ「鋤」を盗めばいいという訳でもない。
 木々の密集地に近い場所で「わざと発見されなければならない」のである。
 
 誰もが悩む中……わしの脳裏に、ひとつの名案が浮かんだ。
 
244 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/03(土) 09:02
 「よし。前払いの報酬として、お前たちにこのWIZARD SKULLCAPを授けよう」
 
 わしはBLACK BOXから三角頭巾を取り出し、ゴミあさりに与えた。
 この頭巾には周囲の者全員を半透明にする魔法MASOPICが封じ込められている。
 使い方を教えると、連中はオモチャを与えられた子供のようにワイワイと騒ぎ出し、
 半透明になっていく自分たちを面白がっていた。
 
 「……つまり、あの頭巾の魔法の力で、ゴミあさりたちを『鋤』に近づけさせるのね?」
 
 スマーダがわしに言葉をかける。憑き物の取れたような……屈託のない笑顔だ。
 
 「驚いた。見直したわ……あなたって結構やるのね」
 「当然だ。わしはAMULETの所有者にして、偉大な魔術師なのだからな」
 
 わしの傲慢な返事に怒るかと思ったが、意外にもスマーダは「すごいわ」と感心するだけだった。
 ……どうも調子が狂うな。
 
245 名前:ワードナ@とりあえずレスはする ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/03(土) 09:08
 ……さて、今日は上記5シークエンスとする。
 

 247 名前:Vampire Lord
投稿日:02/08/03(土) 23:26
  お久しぶりに御座います……って……
  そ、そんな!このスレを廃棄してしまうというのですか!
  何か、何か他に方法はないのでしょうか?
 
  と、とりあえず私めの考えとしては
 
  1.とりあえず雑談スレにする。コテハンステハンなんでもよし。
  2.その間ソーン引継者を募集する。引継が出るまではワードナ様にも雑談として参加して頂く。
  3.ソーンの引継が出たら、そこからまたワードナ様との二人三脚で混沌の王から救出編を開始する。
 
  どうでしょうか。
  これならワードナ様にもそれほど負担がかからず、スレを維持できると思うのですが……。 
 
   >247(Vampire Lord)
   久しいな。お主の案は悪くないとは思うが、
   現状のスレッドをそのまま利用していく場合は実現は難しいのではないかと思う。
   (せめて、スレタイトルがもう少し分かりやすくWIZを標榜しておれば……)
 
   お主に「いつでも死ぬ事ができる」能力を与えたのは、
   「永遠の生」の苦痛から解放するためだったのだ。
   ……言わんとするところは、分かってくれるな?
 

248 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/04(日) 00:35
 その日の夜のうちに決行となった。
 Scavenger Folkの中でも特に力と敏捷性に優れた6人が選ばれ、
 わしのWIZARD SKULLCAPの魔力によって半透明となり、Erhnam族の集落に潜入した。
 わしやスマーダ、留守番役のScavenger Folkたちも、
 わしのMASOPICの呪文で闇に紛れつつ、6人の動向を見守る。
 
 Dijnnたちは野良仕事を終え、ほとんどが眠りこけていた。
 しかし「鋤」だけは片時も手放さず、すぐ側に置いたままにしている。
 
 Scavenger Folkの決死隊は、細心の注意を払いつつ……巨大な鋤を均等に
 6人で分担して、どうにか担ぎ上げた。
 
249 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/04(日) 00:36
 いい調子だ。このままわしらの所まで鋤を持ってくれば、Djinnどもから逃げるのに
 十分時間が稼げる…………そう思った矢先。
 
 Scavenger Folkのひとりが小さな岩につまづいてよろけた。バランスを失った鋤が、
 地面に落下し乾いた音を立てた。
 
 まずい! それほど大きな音ではなかったが、鋤を盗まれたDjinnの目がギョロリと見開かれている。
 半透明とはいえ、自分の鋤が遠くへ移動しており、そこで何かがモゾモゾ動いているのは目に留まったらしい。
 不埒な侵入者たちを目の当たりにし、昼間の柔和な表情はどこへやら、
 両眼に凶暴そうな光をたたえてScavenger Folkたちを睨みつけた。
 
 …………まったく、ヘマをやらかしおって!
 
250 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/04(日) 00:37
 Scavenger Folkたちは失策に気づき、鋤を無視して一目散にこちらへ逃げてきた。
 Erhnam Djinnは憤怒の形相で、ちっぽけな小男たちを捕らえるべく飛び掛ってきた。
 
 巨大な図体に似合わず、その動作は素早い!
 
 このままでは、Scavenger Folkたちは全員踏み潰されてしまうだろう。
 わしはMASOPICの呪文を解除し、茂みに潜ませていたFLUXに、Djinnの足元に絡みつくよう命じた。
 粘液質の物体に足を取られ、Djinnはますますいきり立った。力任せにFLUXに掴みかかり、
 そのゼリーのような肉体を易々と引き裂いた! 何という怪力!
 BLOB以上の生命力を持つFLUXをわずか一撃でバラバラにしてしまうとは!
 
251 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/04(日) 00:38
 しかしその甲斐もあって、Scavenger Folkたちはどうにかわしらのいる場所まで逃げおおせてきた。
 ところが……5人。1人だけ足りない!? 見れば、先ほどよろけた奴は足をちょっと捻ったらしく、
 ヨタヨタと頼りない足取りでこちらに向かおうとしているのが見えた。世話の焼ける奴め!
 
 ふと見ると、スマーダが弓に矢をつがえて引き絞っていた。
 Djinnは唸り声を上げながら、逃げ遅れたScavenger Folkを握り潰そうと動いた!
 Djinnの腕が届いた、と思ったのと、スマーダが矢を放ったのは同時だった。
 
 矢は……過たず、疾走するDjinnの右眼を貫いた! 突然の激痛に苦悶の絶叫を上げる魔神。
 どうにか、最後の一人も追いついた。
 
252 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/04(日) 00:39
 Djinnがわしら全員を残った左眼で睨みつけたのを確認し、
 わしらは次々と背後の木の中へと飛び込んだ。
 彼らの言う通り、どう見ても壁にしか見えない巨木を自由にすり抜けていく。
 わしとスマーダ、そして逃げ遅れた最後のScavenger Folkも飛び込む!
 間一髪、Djinnに追いつかれる前に木の中に滑り込む事に成功した。
 刹那、木のすぐ向こうからDjinnが勢いあまって激突した凄まじい衝撃音が轟いた。
 
 「い、生きてる!? オレ、生きてる!?」
 「もちろんよ! やったわッ!」
 
 手を取り合って喜ぶスマーダとScavenger Folk。
 しかしすぐに我に返り、お互いプイとそっぽを向いて、よそよそしい態度になった。
 それが可笑しく、わしはつい吹き出してしまった。
 
253 名前:ワードナ@とにもかくにもレスはする ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/04(日) 00:40
 今日は上記5シークエンス……って本当に長いな。
 以前通りゆっくり続けていたらどれぐらいかかっていたのだ……?
 

 254 名前:Fuzz Ball ◆h4ThSfsM [sage] 投稿日:02/08/04(日) 10:17
  『爺が予想通り腹を切ってしまったので、事後処理にかなり手間取った。
   皆をだいぶ待たせてしまったと思う。』
 
  ……似てない(汗)
  とりあえず、私にソーン様の代役は勤まりませんね。
 
  皆様が出してくださった今後の方針の意見を、私なりにまとめてみました。
 
  1、このまま、ソーン様のご帰還を待つ。
  2、このスレを放棄し、ソーン様が再びスレを作られるのを待つ。
  3、他の板へ移住。 (ゲームのレトロゲーム、または太陽?)
  4、第2のソーン様を立てる。
  5、雑談スレとして生まれ変わる。 (このスレで続ける or 新しくスレを作る)
 
  みたいな感じでしょう。
 
  私個人としては、1が最良なのですが、結局現状維持なので、あまり生産的ではありません。
  3のように、他の板に移住しても、ソーン様がいらっしゃらない間は、
  ワードナさんに負担をかけ続けることになりますね。
  4の、ソーン様の代役は、ソーン様の代役にたる人材がなければ始まりませんし。
  消去法で、2か5あたりが、一番現実的だと思います。
 
   >254(Fuzz Ball)
   今となっては、ソーンにこだわる必要はないのだがな。
   わしがソーンに呼びかけたのは、呪いを利用するという事もあるが、
   「昏沌の王」の神殿に入るために、わしとは属性の異なる魔術師の力が必要だったからなのだ。
   「魔法の楯」と善なる属性を持つソーンは、その意味でもうってつけの人材だったのじゃが……
 
   わしの「スレッド放棄」は、あくまでわしの意見に過ぎぬ。
   お主らが何らかの理由でここを再利用していくつもりなのであれば、
   その決定に異議を申し立てるつもりはない。勘違いせぬようにな。
 
  255 名前:以上、自作自演でした。[sage] 投稿日:02/08/04(日) 18:33
   案6、『トレボーサックス』だけで1000を目指してみる
 
   257 名前:以上、自作自演でした。[sage] 投稿日:02/08/05(月) 05:41
    トレボーサックス!
 
    258 名前:以上、自作自演でした。[sage] 投稿日:02/08/05(月) 06:12
     ファッ○ンワードナ
 
      >255,257,258(案6)
      お前たちがそれで楽しければ……それもまたよかろう。
 
 256 名前:ソークス[sage] 投稿日:02/08/05(月) 01:56
  あれっ!?
  まさか新スレが立てられてるなんて…
 
  …どうもあまり状況は芳しくないようですね…
  「リターンオブソーン!」ってなことは起こらないんでしょうか?
  文才が素晴らしいと思ったのですが・・・
 
  案6は…ちょっと魅力的かも。
  突然現れて好き放題言って申し訳ありません。
 
  では、このスレと名無しの皆さんにカルキがあらん事を。
 
   >256(ソークス)
   前スレ以来じゃな。実に久方ぶりである。
   まあ、これも時代の流れというものであろう。
 

259 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/05(月) 10:28
 無事に「濃霧」のかかっていた地帯を抜け出す事ができた。
 すでに「古の墳墓」の遺跡が目視できるほどの距離にまで近づいている。
 
 Scavenger Folkたちとはここで別れる事になるが……わしはふと、
 「ある事」が引っかかって彼らに尋ねてみた。
 
 「持ってる、オレたちの、秘伝、譲る、ダメ。貴重」
 
 どうやら「持っている」らしい。わしはそれを手に入れるべく頼み込んだ。
 すると……彼らはある「条件」と引き換えなら要求に応じると言った。
 
260 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/05(月) 10:29
 「何をコソコソ内緒話してるの?」スマーダが訝って話しかけてきた。
 
 わしはスマーダに説明した。わしが彼らの持つ「貴重品」を欲している事。
 彼らはその見返りとして、
 ウッド・エルフ族の持つ土地の一部を自分たちに割譲してほしいと訴えているという事を。
 
 「オレたち、よそ者。拠って立つ土地、持ってない。欲しい」
 
 スマーダは驚いて断ろうとしたが、
 わしの「こやつらは命の恩人だ。
     だがお主は彼らに対し報酬を支払っていないのではないか」という言葉に
 (少々詭弁が過ぎる気もするが)納得し、その条件を飲む事となった。
 
261 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/05(月) 10:30
 わしとスマーダ、そして生き残った魔物たちは、とうとう「古の墳墓」にたどり着いた。
 ピラミッドのような巨大な遺跡。その麓には、怪しげな黒ずくめの集団が奇妙な儀式を執り行っていた。
 その中に、Hawkwind……いや、スマーダそっくりの流麗な容姿をしたエルフが一人混じっていた。
 
 「…………エオル!」
 スマーダの呼びかけに、そのエルフはゆっくりと振り返った。
 
 「……誰かと思えば、姉さんじゃないか。よくあの『濃霧』の呪文をかいくぐる事ができたね。
  その隣にいる老いぼれが、少しはできる魔術師なのかい」
 
 ……わしの実力も見抜けぬとは、愚劣極まりない輩め。
 
262 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/05(月) 10:30
 「でももう遅い。僕の手にはMox Diamondがある。民から『色』を搾取している父上に、
  この宝石の持つ魔力をもって、その身の程を思い知らせてやるんだ」
 「馬鹿な事言わないで! その宝石を使ってはダメ! そんな事を続けていれば、
  いずれ、この森すべてが砂漠の荒野と化してしまう……!」
 「僕はそこまでバカじゃないよ。それに、少しくらい森が減った方が好都合じゃないか。
  僕が宝石を使って力を得れば得るほど、逆に父上の力は弱まっていく。一石二鳥だ」
 
 ………………………………この男。
 スマーダは弓を構え、エオルに狙いを定めたが、奴は動じる様子もない。
 
 「……スマーダ姉さん。僕の邪魔をしないでくれ。どうせ、弟を射るなんてできないだろ」
 「……………………!」
 「それに、僕は今からこの墳墓に眠る『暗き森の魔王』を召喚するための儀式をするんだ。
  こいつを僕のしもべにできれば、父上やこの森、いや、世界を我が物にする事だってできる!」
 
263 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/05(月) 10:32
 スマーダは「暗き森の魔王」の名を聞いて蒼くなった。
 「無茶よ!……あなたとMox Diamondの魔力がいくら強くても、あのAborothを蘇らせるなんて……」
 
 しかし、エオルは余裕の表情で周囲の男たちに合図を出した。すると彼らは一斉に胸をはだけた。
 そこには……おぞましい事に、心臓にあたる部分に巨大な目玉が埋め込まれていた!
 
 「こ、こいつらはッ……『漆黒の手の信徒』……『玉座の王』の手下じゃない! どうして……」
 「決まっているだろう。『玉座の王』は僕の理想に共鳴して、協力を申し出てくれたんだよ。
  こいつらが我が魔力を増幅すれば、Aborothを使役する力を得るなど容易い事さ!」
 
 エオルが呪文の詠唱を始めると、Mox Diamondが七色に輝いた。
 そして信徒たちは首筋から鮮血を吹いて次々と倒れ、ドス黒い魔力が放出された。
 信徒の死体は見る間に白骨化し、血のように毒々しい色をした花が咲き乱れた。
 
 「死を苗床とするCadaverous Bloomよ! 我が儀式の成就に力を貸せ!
  そして、目覚めよ『暗き森の魔王』Aboroth! その力ですべてを蹂躙せよ!!」
 
 かつてないほどの鳴動が、森全体を激しく揺るがした!
 
264 名前:ワードナ@ファッ○ン〜くらいわかるぞバカモン ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/05(月) 10:52
 今日は上記5シークエンスじゃ。分かりにくい点はないだろうか?
 

 266 名前:ソークス[sage] 投稿日:02/08/05(月) 11:03
  >ワードナ様
  はい、まさか再会できるとは思っても見ませんでした。
  異次元でも相変わらず強大な力を振るっておられるようで、何よりです。
 
  …情熱だけはある私でも、このスレを見つけるのが遅れたのですから
  名無しの方々がなかなか集まらないのも無理はないかもしれません。
  ただ、このスレの雰囲気、私は好きです。
 
 267 名前:以上、自作自演でした。[sage] 投稿日:02/08/05(月) 18:22
  7.ソークスタンがアイラスタンにハァハァするスレにする
 
   >267(案7)
   そもそもアイラスが来ておらぬが?
 
 268 名前:L−5パイオニアーのペア[WINGED BOOTS] 投稿日:02/08/06(火) 00:59
  上昇!
 
 269 名前:以上、自作自演でした。 投稿日:02/08/06(火) 03:05
  age
 
   >268,269(age)
   今回の足切りは異様に早かったな。素早い保全対処痛み入る。
 
 270 名前:以上、自作自演でした。[sage] 投稿日:02/08/06(火) 04:09
  HAMAN!
 
   >270(HAMAN)
   昔、お主の上位呪文で戦隊モノのネタを考えていた事があった。
   その名も「音速戦隊マッハマン」……
   その名の通り、命(レベル)を賭けて悪と戦うらしい……いや忘れてくれ。
 
 271 名前:Fuzz Ball ◆h4ThSfsM [sage] 投稿日:02/08/06(火) 08:20
  どうも、私は、ソーン様に拘り過ぎているみたいです。
  もっと、広い視野を持たねば……。
 
  そこで、ちょっと雑談の種です。
  GBC版の、ウィザードリィエンパイア、全アイテムを集めた人っていますか?
  冒険者を待つ間、ずっとやっていたのですが、
  レベル2000を超えても、未だに集まらないアイテムが数種類……。
 
  >256 >266
  ソークスさん、はじめまして。
  タイ……何でしたっけ? (影薄いです、彼。)
  その、彼の迷宮の時、クリーピングコインと、『今回は召喚されない』って、愚痴っていたんですよ。
  次回は、ファズボールをよろしくお願いします、はい。
 
   >271(Fuzz Ball)
   外伝1であれば、お主はSOCORDIのハズレモンスターとして出演しておらんかったか?
   ついでに言えばCleeping Coinめも、外伝3でSOCORDIを使って召喚可能じゃ。
 
 272 名前:ソークス[sage] 投稿日:02/08/06(火) 12:34
  >267
  確実にエロパロ板あたりにお引越しになるので却下です。
  立てても100もいかないと思いますけど(笑)
  とあるところで肖像画を手に入れたので、
  これでハアハアしてください。
 
  …といって気がついたのですがどこかに
  いいアップローダーないでしょうか?
 
  >268
  お城のお堀にはまらないようにしてくださいね。
 
  >269
  座標を良く確認しましょう。
  …といっても外伝では気軽にマロールできますが。
  無精者なので助かりました。
 
  >270
  ヘーアー・ミームアリフヌーン!
  今では忘れ去られた呪文ですね。
 
  >271  Fuzz Ball
  はじめまして。タイロッサムですね。
  確かに影薄いです。リルガミンの宝珠も…
  次回の引きこもりではちゃんと登場させるので許してくださいね。
 
  アイテムですが、レベル2000超えてもコンプリートできないのはおかしいのでは。
  SPを開放させることで手に入れるアイテムなど見逃していないでしょうか。
  ところで手がないのにどうやってプレイしているんでしょう。
 
   >266,272(ソークス)
   相変わらず、細かいところでサービス精神旺盛じゃな。
   お主に限らず、かのFlackも見つけにくいと言っておったし、
   スレッド名に関しては真剣に議論する必要があるやもしれん。
 

273 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/06(火) 12:42
 地響きと共に「古の墳墓」が倒壊し……中から圧倒的な質量を持った物体が溢れ出した。
 途端に周囲は「闇」に包まれる……よくよく見れば、目の前に出現したのは、
 泥や枯れ木が寄り集まった不恰好なGolemに過ぎない。
 しかし……そう笑い飛ばすにはあまりにも巨大すぎた。
 Erhnam Djinnの3倍、いや4倍以上はあるだろうか。
 わしのMIGHTY OAKですら、そこらの雑草くらいの丈しかないように思える。
 これが「暗き森の魔王」Aborothの正体か!
 
 「はははは。見ろ、人がアリのようだ!」
 Aborothの右肩に降り立ち、高笑いを上げるエオル。
 
 「に、逃げましょう! 勝ち目なんてないわ!」
 スマーダが珍しく現実的な意見を言った。
 
 しかし……この「巨神」相手に、どうやって逃げろというのだ?
 
274 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/06(火) 12:42
 TILTOWAITを放ったが、最強の爆炎呪文をもってしても、
 怪物の表面の泥や木をわずかに焦がしたに過ぎなかった。
 効いていない訳ではない。だが……すべてを焼き尽くすには、
 あと何百回呪文を唱えればいいのだろう?
 
 「ははッ無駄だ無駄だ無駄だァ! どんな魔法だろうとAborothには足止めにもなりはしない!」
 
 Aborothが鈍重ながらも動きを見せた。
 奴にとってみれば、単に歩いただけだったかもしれないが……
 その巨大な足はMIGHTY OAKにのしかかり、粉々の木片に変えてしまった。
 
 わしはBLONDYたちにスマーダを連れて安全な場所まで避難するように命じると、
 WEST WIND SWORDを引き抜き、WINGED BOOTSの魔力を解放してAborothの身体を駆け上るように急浮上した!
 
275 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/06(火) 12:45
 「『司令塔』たるこの僕を直接狙おうってのかい?」
 
 迫り来るわしを見ても、エオルは冷笑を浮かべただけだった。
 
 絶妙の間合い! 一撃で首を刎ね仕留めてやる!
 わしはすれ違いざま、剣を振り上げて一閃した!
 
 ところが、まるでゴムにでも刃を当てたかのような奇妙な手ごたえがわしの手に伝わった。
 見れば、エオルの周囲にシャボン玉のような防護膜が張り巡らされているではないか!
 
 「僕が『古の墳墓』で見つけたのはMox Diamondだけじゃない……こいつはBubble Matrix。
  あらゆる物理攻撃をはじき返す鉄壁の魔法障壁を発生させるんだ」
 
 わしの硬直した隙を見逃さず、エオルはわしの持つ剣をはたき落とした。
 WEST WIND SWORDはわしの手を離れ、Aborothの足の甲を掠めただけで地に落ちてしまった。
 
276 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/06(火) 12:46
 「よかったじゃないか。この無敵のAborothに、ほんのカスリ傷だけでもつける事ができて」
 
 勝ち誇り、哄笑するエオル。
 わしはWINGED BOOTSを使って距離を取り、エオルと同じ高度を保った。
 
 「最後にひとつだけ聞いておきたい」
 「何だい? あんたの冥土の土産に、何でも答えてやるよ」
 「なぜ貴様は、Scavenger Folkたちを殺そうとした? なぜBASILISKを皆殺しにしたのだ?」
 
 エオルは一瞬だけ表情をこわばらせたが……すぐに鼻で笑った。
 
 「決まっているじゃないか。ゴミあさりやトカゲ風情にうろつかれちゃあ迷惑だからね」
 「それだけではあるまい?」
 
 わしの挑発的な態度に、エオルの笑みは一瞬にして憤怒の形相に変わった。
 
277 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/06(火) 12:47
 「……何が言いたいんだい?」
 「なぜ、貴様はScavenger Folkに報酬すら払わずに皆殺しにしようとしたのか?
  なぜ、貴様はBASILISKを一匹残らず虐殺したのか?
  なぜ、『古の墳墓』には砂漠の魔獣であるはずのBASILISKが住み着いていたのか?
  これら三つの『点』を結ぶと、一本の『線』が浮かび上がるのだよ」
 
 エオルの表情に、怒りだけでなく、恐怖の入り混じった脂汗が浮かぶのが見える。
 
 「貴様には、BASILISKを皆殺しにせねばならん理由があった。
  その理由とは……奴らこそが、Aborothの監視、再封印を担う『番人』であったためだ。違うか?」
 
 とうとう、エオルの表情は完全に凍りついた。
 
278 名前:ワードナ@両極端だよ足霧君 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/06(火) 13:06
 ノリで書いているうちに思いがけぬ長編となった「森の宝珠」編じゃが、
 いよいよ明日で完結編となる。皆の者、心して待つがよい。
 

 279 名前:以上、自作自演でした。
投稿日:02/08/06(火) 23:48
  続いてホスィ・・・
 
   >279(続いてホスィ)
   そう言ってくれるだけでも嬉しい。
   皆の声がなければ、この章ですら完結することはおぼつかなかったじゃろう。
   我ながら自己満足の極みだとは思うが……許してほしい。
 

280 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/07(水) 00:31
 エオルは表情を引きつらせつつも叫んだ。
 
 「何をバカな。あんなちっぽけなトカゲどもが、一体どうして
  このAborothの番人になるっていうんだい?」
 「貴様も魔術師のはしくれなら知っておろう……BASILISKには石化の視線と、
  その『血』には森を破滅へと導く猛毒が秘められておるという事を……
  すなわち、BASILISKの毒が体内に入れば、いかなAborothといえども
  たちどころに破壊されてしまう。
 
  どうじゃな? 我ながら名推理だと思うが」
 
  余裕ぶった表情はどこへやら、エオルはすっかり狼狽しつつも虚勢を張った。
 
 「フン。仮にあんたの言う事が正しいとしよう。だがそれがどうした?
  BASILISKは僕が一匹残らず根絶やしにしたんだ!
  あんたがいくら毒を手に入れたくても、
  奴らがいなくては血を採取する事だってできやしない!」
 「クク、そう思うか……だが、聞こえぬか? お主の足元から」
 
 ……サラサラ……パラパラ……
 
 かすかではあったが、確実に……Aborothの体内から、砂の流れる音が聞こえていた。
 
281 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/07(水) 00:32
 「そ、そんなバカなッ! なぜだッ!?」
 「お主が殺しそびれたScavenger Folkたちは、BASILISKの血から毒を精製する秘術を身につけていた。
  わしは彼らから、ウッド・エルフの土地の一部と引き換えに、このVenomを手に入れたのだ」
 「し、信じられない……我がウッド・エルフ族の神聖なる大地と、
  そんなちっぽけな毒の瓶を交換しただと!?
  しかもあの、下賎なゴミあさりどもと……!?
 
  しかしどういう事だッ! その毒はAborothの体内に入れねば効果はないハズ!
  貴様にそんな素振りはまったく見られなかったが……はッ!?」
 
 ようやくエオルは気づいたらしい。
 わしの持っていたWEST WIND SWORDが、Aborothの足をわずかに傷つけていた事に。
 
 「ま、まさかあの剣に毒を……そうか! 最初から僕を狙ってなどいなかったんだなッ!」
 「そう。謎解きをしてみせたのも、毒が回る時間稼ぎをするためじゃ。
  図体が図体だけに、本当に通用するか疑わしかったが……どうやら間に合ったようだな」
 
 刹那。
 「暗き森の魔王」は崩壊した。
 
282 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/07(水) 00:34
 凄まじい質量の土砂の中、わしと合流したスマーダは、中に埋もれていたエオルを発見した。
 Bubble Matrixがなければ即死は免れなかったろうが……腹部から激しく流血し、
 その命ももはや時間の問題である事が見て取れた。
 
 「ね、ねえさ……ん……ぼ、僕は……なんて……バカな……事を……」
 「喋らないでエオル。すぐに父上が来るわ。こんな怪我、すぐに治せる」
 
 姉を心配させまいと思ったのだろう。エオルはどうにか笑みを作ってみせた。
 
 「いいん、だ……姉さん。父……に、伝えて……ご、めん……って……」
 
 事切れたエオルを胸に抱き、スマーダは静かに嗚咽していた。
 
283 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/07(水) 00:34
 「宝珠の王」はわしとスマーダの報告を聞き、さすがに悲しみの表情を隠せずにいたが……
 約束通り、他の3人の王から探知されずに済むSeeding Charmと、
 色を封じた秘宝を報酬として渡すと宣言した。
 スマーダは複雑な表情だった。弟に続いて、父親とも離れ離れになるのである。
 
 「悲しむ事はない、スマーダ……ワードナ殿が無事5つの秘宝を揃えれば、
  わしらの王としての役目は終わる……そうなれば、わしは再び戻ってくる事ができる」
 
 首を垂れる娘の頭を優しく撫でると、「宝珠の王」はわしに向き直った。
 
 「ワードナ殿。残り3人の王は、わしと違っていい加減な連中ではない。
  特に『死者の池』の城に住むBaron of the Throneには気をつけよ。
  あ奴は、真の意味で邪悪な支配欲を満たすために王となったのだからな……」
 
 小柄な「宝珠の王」の等身がさらに縮み……美しい木目模様のWooden Sphereが後に残された。
 
284 名前:ワードナ@遠征中 ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/07(水) 00:35
 わしが森を出ようとすると、スマーダが息せき切って駆けつけてきた。
 
 「傲慢で、偏屈で、見栄っ張りで、意地が悪くて……」
 「わざわざ悪口を言いに来たのか?」わしもいささか呆れて言う。
 「でも、やっぱり貴方は偉大な魔術師だったわ。
  ありがとう、ワードナ『様』。
  森を救ってくれたお礼を、どうしても言いたかったの」
 
 言いながら、俯いて頬を赤らめている。可愛いところもあるではないか。
 彼女はおもむろに、首から下げていたエメラルドのペンダントを寄越した。
 
 「これを持っていって。ウッド・エルフ族に代々伝わる秘宝Lifeforce……
  死の呪いを退ける力が秘められているって話だから。お守りになるかと思って」
 
 エメラルドの中には、胎児のようなものが見え、生きているかのように脈打っている。
 チャチなレプリカでない事は明らかだ。正真正銘の希少な魔法のエメラルド!
 
 「本当に良いのか? このような貴重なものを……」
 「か、勘違いしないでよね。貸すだけなんだから」
 スマーダは慌てて言い繕った。
 「貴方が目的を達した後、父を送り届けてくれるって保証はないじゃない?
  だから、旅が終わったら必ず戻ってきてよね。この宝石を返すために」
 「父親は返してやるが、宝石だけ持ち逃げすると言ったら?」
 「バカ!……………………それでも、構わないから……また会える、かな?」
 
 ……なるほど、な。
 わしはスマーダと再会の約束をすると、「常闇の迷える森」を抜け、
 次なる目的地である、「星の女王」の住まうという「血の山脈」を目指した。
 
285 名前:ワードナ@次回作にご期待ください ◆5QDw4mag [sage] 投稿日:02/08/07(水) 00:54
 「森の宝珠」編はこれにて完結である。
 結局、スレッドの今後について結論がまとまらぬまま、
 この場を離れねばならんのは非常に遺憾ではあるが……
 

 286 名前:以上、自作自演でした。[] 投稿日:02/08/07(水) 08:11
  ワードナ様、今まで頑張って下すって有り難う御座いました。
  このスレの方針がキチッと決まったらまたおいでになって下さいませ。