思い出の作品達 第百四十回 「イース」

YS(イース)

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YS(イース)
ビクターエンタテインメント 1988-08-26
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おすすめ平均 star
starパソコンゲームの名作がファミコンに・・・

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 PCゲームにおいてA・RPGの金字塔として燦然と輝く「イース」シリーズ。
 高度なプログラミングを駆使し、限界まで機種性能を引き出す『技術』が光る職人技が高く評価された本作。
 ……そんな本作を性能において圧倒的に劣る機種に落とし込んだらどうなるのか。
 その結果を垣間見る事が出来る作品、いやまぁ頑張っているんだけどな、本作も2も。
 
 心躍るサウンドと(当時としては)目を疑う驚異のグラフィック処理。誰でも楽しめる単純なシステムとゲームバランスに、筋の通った謎解きに感情移入のし易い王道なシナリオ展開。イースが評価されたのはその全てが揃って高い完成度を有していたことと、尚且つ移植される毎に毎度毎度機種性能を限界まで引き出しては進化していった血と汗と涙と後何だっけが感じられる職人の意地をユーザーが肌で感じられたからであろう。
 しかしながら、FC版は非常に残念だった。残念過ぎた。というかPCゲームの移植作は概ね残念に成りがちであるのだが、それを差し引いても残念だった。頑張っていたが、如何せん同時期の最初からFC前提で作られた作品と比較する際に不可能な忠実移植を試みて中途半端になってしまった本作の評価は相対的に低く落ち着いてしまった。ファンからも、一般ユーザーからも『今一つ』と言われてしまう作品なのである。
 ROM容量がもう少しあれば、FCの処理能力がもう少し高ければ、PC版並に化けたであろう作品。如何せん、先発のPC版でも後発のPCE版でもFCには不可能な事を限界レベルで実現されてしまっているが故に、相対的に残念という感想がどうしても浮かんでくる。バグの多さも、出来の粗さも目立つし。
 
 ディスクシステム以前に、百歩譲ってディスクシステム時にリリースされていればそれなりの評価が下されたかもしれない作品。然れども、1988年にこれでは駄目だろう。元が傑作であり、同年に出た作品が化け物なだけにどうしても評価は辛くなりがちとなるが。