思い出の作品達 第百五十三回 「ドラゴンクエスト3 〜そして伝説へ〜」 TAKE2

ドラゴンクエストIII

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エニックス 1988-02-10
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 そう言えば、GBC版が発売されたのが最後のリメイクになるから、何気に発売後7年も経ってるのな。(SFC版からなら11年。)
 ……天空シリーズのリメイクよりも先に、ロトシリーズをリメイクするべきだったと思うのだがなぁ。
 (いやまぁ、素材の使い回しが出来る4で時間を稼いで5と本命の6をリメイクするって戦略は有りだと思うが。
  何せ、SFC後期に発売されてしまったが故に、ベタ移植すらされないまま放置され続け12年だしな。6。
  ……尤も、FF3なんて20年放置され続けたんだから、それに比べればまだまだだけれども。
 
  しかし、発売後6年が過ぎていた4は兎も角、5がリメイクされたのって思いっきり最近だしなぁ。しかもPS2
  劣化移植は叩かれる原因にしかならんと思うのだが……まぁ、見た目が全てじゃないからな。ゲームって。)
 
 シリーズ歴代2位の売り上げを誇り、FC時代からの古参ゲーマーに神格視され気味な本作。
 1にてRPGの原型を高い完成度で、2にて発展形と現在に至るDQのテンプレートを作り上げた上での、FCにおける集大成とも言える作品。
 偉大な父親の跡を継ぎ、世界の片隅より旅立つ勇者とその仲間達。父親の足跡を追って地球上を駆け回り、様々な謎を解き明かしつつ悪の陰謀を挫く。
 遂に乗り込んだ巨悪の根拠地にて明かされる真なる敵の存在、それを追って辿り着いた精霊神ルビスが新たに作り上げた世界『アレフガルド』。
 またもや現れる父親の影を辿りながら、女神を解放し伝説の武具を集め、虹の橋を渡って魔の島へと向かう。
 そこで待ち受ける悲劇と、闇の底に待ち構えていた大魔王――――スマン、書いていて盛り上がってきたから一回ゾーマ倒してくる。
 
 さて、本作はシリーズ初のPTの自由編成と『性別』『職業』と『転職』を用いた自由な育成システムが売りとなっており、脇を固める部分として乱数を用いたランダム成長やパラメータ上昇アイテムによるドーピングなども合わさり、ユーザー毎のプレイスタイルに応じた幅広い育成が楽しめる仕様となっている。 また、育成を楽しむという事からキャラクターの育成上限も大幅に上昇。前々作の30、前作の50・45・30から現行の99となっている。
 これはFC時代の後期ともなり、ROM容量も増加し、更にはバッテリーバックアップシステムが採用された事により、複数のキャラクターの多様なパラメータを同時に管理する事が可能となったが故に可能となったシステムである。この辺りはDQ2 TAKE2にて触れた【復活の呪文に関する雑学】を参照していただければ判り易いだろう。 (余談だが、SFC版のIIIにおいてのみ採用されている性格に応じた様々な成長傾向設定は、自由な育成を楽しませるという本作のコンセプトをより深く追求する為に追加されたシステムであると考えられる。)
 また、ROM容量の増加はそのまま登場するアイテム数や出現するモンスター数の増加へも繋がり、探索マップやシナリオの増量も当然実現されている。あらゆる意味で前作を越えるべく作られた作品と言えるだろう。
 他にも細かい部分ではシナリオフラグ用のキーアイテムを始めとした登場アイテムの増加に伴って、設置された預かり所(兼銀行)であったり、或いはフィールドマップの広大化による移動時間の長大化の解決策として改善され、現在の形となった『ルーラ』のシステムであったり、はたまた、色々詰め込んだ結果増加して尚足りなかったROM容量によりカットされたOPタイトルロゴであったり、もしくは、同様に容量不足が故に変態ルックになったオルテガだったり、(タイトルロゴ周りはEDでの演出的にカットして正解な部分もあるし、オルテガはFC海外版以降は勇者スタイルなグラフィックだが)様々に試行錯誤がなされ、極限まで詰め込まれ削り落とされた内部環境となっている。
 
 翻って戦闘システムは大きく変化はしていないが、様々なマイナーバージョンアップが試みられている。
 自由編成の一環として隊列システムと隊列位置に伴う敵の攻撃標的確率の変動(前方ほど標的になり易い)が第一の変更点。これにより耐久力に富む仲間を先頭に据え、後列の呪文使い達がサポートすると言うイメージが想像し易くなっている。 また(本作を以って一通り完成された)呪文体系の整理や追加であったり、以後VIIまで採用されている戦闘中のステータス表示方式であったりと、後のシリーズにまで用いられる事になるシステムが本作で一通り出揃う事になり、オートターゲットや補助呪文の持続ターンシステム以外では最新作と殆ど変わらない仕様となっている。
 
 シナリオとしては死んだ偉大な父親の足跡を追いつつ、世界を巡り各地で様々な文物を手に入れたり謎を解き明かしたり、或いは陰謀・悪事を挫きつつ、世界に影を落とす魔王へと挑むという、少年少女ならば誰でも燃える英雄譚となっている。
 尤も、本作のサブタイトルである『そして伝説へ…』が示し、更にはパッケージ裏面やCMで提示された『アレフガルドの謎』がある様に、冒険開始直後には想像も出来なかった展開を経て、ぶっちゃければバラモスを倒した後にゾーマが登場してアレフガルドへと辿り着いて、遂には大魔王を倒し、世界に光を取り戻し、そして人知れず衆目から姿を消す……といった前作・前々作へと繋がる完結作となっている。
 これは、社会現象とまで盛り上がりに盛り上がった本シリーズの区切りとして、次の3作にも適用される事になる三部作構成である。(その点、最後にて綺麗に1・2へと繋がった3に比べると、若干ぼやかした6の印象は弱い部分が無いでもない。まぁ、6は3以上に難産で実装されていないイベントが多々あるらしいので、リメイクに期待したいところではあるが。)
 
 そして、ROM容量の恩恵を最も受け、シリーズ最高傑作と言われる本作を最適に彩ったのが名曲の数々である事は言うまでも無いだろう。
 殊、フィールドマップ曲の『冒険の旅』、ラーミア騎乗時曲の『大空を飛ぶ』、アレフガルドフィールド曲『アレフガルドにて』、通常戦闘時の『戦闘のテーマ』(とリメイク時の追加曲『戦いのとき』)、シリーズ最高のラスボス曲である『勇者の挑戦』。そして、ロト伝説の始まりを告げ三部作の最後を飾る『そして伝説へ…』と、一曲毎でも一時間は語れる名曲揃いとなっている。
 特に『勇者の挑戦』はラスボスである大魔王ゾーマの圧倒的な強さと存在感も受けて、上記の様にシリーズ最高との声が高い屈指の名曲である。 俺の偏見? いやいや、FC版からプレイしているDQユーザーに聞けば絶対に同意見多数だろうて。(残念ながらリメイク版だと強さがなぁ……それでも、真の悪役らしい存在感はリメイク版でも健在だが。)
 
 さて、気に入った作品になると途端に口数が減ったり増えたりする俺な訳だが、熱く語っている事から判る様に本作は大好きである。
 それこそ、お気の毒なトラウマシーンを幾度と無く越え、今尚脳内再生が出来る位に幾星霜と大魔王を倒したプレイ回数は伊達ではない。個人的には〜恐らく同意見の方は多数居るとは思うが〜本作は是非とも前知識無しでFC版にてプレイしていただきたい作品である。……いやまぁ、上記でネタばれしてるし、そもそもSFC版もGBC版もあるのにと思うかもしれないが、あのFCの音源と表示色数で彩られた世界こそ、最高の環境だと思いたい俺が居たりする訳で。OSTのゲームオリジナルストーリーは最高だ。
 (無論、ゲーム性を除けばリメイク版2作の方が楽しめると言った意見を否定しないし、アレはアレで俺も好きだ。しかし、リメイク版での感動の半分はFC版をプレイしているからこそ、というのはあるとも思う。)
 尤も、FC版の場合はトラウマシーンが頻発するという難点があるんだよな。バッテリーバックアップシステムの構造に欠点あるし。
 
 というか、■eはいつになったらWiiのVCでDQFFの提供を開始してくれるのだろうか。
 この際、一作\1000とかでも納得してやるからFCの3作を至急用意しやがれクソッタレ。俺は一向に構わん。
 (いやまぁ、実際に\1000とかで配信開始したら2chとかで大炎上しそうな気もするけどさ。)