思い出の作品達 第百七十九回 「Ultima Online」

はじめてのウルティマオンライン

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エレクトロニック・アーツ 2002-07-18
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 MMORPGの歴史を語る上で本作を抜きにする事は不可能だろう。そして一時期の本作を上回るMMORPGを挙げる事もまた不可能だろう。
 今や改悪と過疎のスパイラルに嵌り込み、曰く『かつての面影はもはや無い』と嘆かれるに至った本作ではあるが、かつて、00年代冒頭において、本作こそがMMORPGの代名詞であった時代が確かに存在していた事を、我々は胸に刻まなければならない。
 
 何か最近は悪評ばかりを耳にするUOことウルティマオンライン。かつて、北斗鯖でこそこそと這いずり回っていた身としては悲しい限りである。尤も、シナリオ・イベントをこなすのではなく、大枠の世界観と軽くて快適な?動作環境だけを用意して、基本はプレイヤー同士の連携や競争などによってこそ面白さが築かれていた本作において、過疎った時点で面白さの八割は失われていたのかもしれない。というか、ぶっちゃけ日本鯖統合すればまだマシになるんじゃなかろうか。家―土地の問題がもう一回浮上するだけの気もするが、そもそもブリ銀が過疎るって時点で大問題だと思うんだ。
 
 さて、本作はMMORPGの初期において他を圧倒する完成度とそれに集まる大人数のプレイヤー数によって賑わっていた名MMORPGである。原作『Ultima』が自由度の異常な高さと並行して徳の概念を重視したシナリオとシステムを設定していた異色のRPGだったのに対し、本シリーズにおいてはこれを逆転させた徳の概念を入れつつも『プレイヤーのやりたい事が何でも出来る(様にする)部分』に焦点を当てたシステム的自由度が売りとなっている。プレイヤーはブリタニアの中で戦士として魔術師として冒険のたびに出ても良い、或いは鍛冶屋・洋裁屋・薬剤師・書写屋として生産に励んでも構わない。はたまた、本人にその気があれば霊媒師や乞食といった職業を選び、それを『ロールプレイ』する。言わばTRPGの楽しさをCRPGに上手く盛り込んだ作品だったと評する事が出来るだろうか。その『ロールプレイ』を盛り上げる要素として役に立つものから何だか判らないものまでの各種スキルが、何でこんなものまで存在するのか判らないアイテムがあり、プレイヤーは一方では黒閣下に戦いを挑み、一方では街中でNPC相手に物乞いをしていた訳である。
 しかし、半島製のβ版無料の各種MMORPGアイテム課金MMORPGが勢いを増していく中で、旧来の月額課金制度を頑なに守っていたUOは経過年数の長さによる古参廃人と新規参入の差の開きであったり人口流出による過疎化であったりで、次第に輝きを失っていき、それを危惧した開発陣によるその場逃れと揶揄される様々な改変が更なる人口流出を招き、現在へと至る訳である。まぁ、内部的に色々とゴタゴタあったみたいだしな。そもそも、ロード・ブリティッシュ(リチャード・ギャリオット)が退社するぐらいだし。
 結局、10周年の大幅アップデートも失敗臭いし、そろそろ本気でUO終焉(少なくとも日本撤退)の目は見えてきている気がしなくも無いなぁ。まぁ、引退して久しい身としては直接的な被害は零なんだが、それでも無くなってしまうと寂しいかもしれない。かといって復帰する気も無いが。
 
 嗚呼、青春時代の北斗鯖での様々な思い出よ永遠なれ。
 ……たまに、当時を偲べるエミュ鯖に繋いだりしているのは内緒だ。