思い出の作品達 第七回 「マザー」

マザー

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 あのほのぼのとした雰囲気と、ごく普通の少年少女が愛と勇気と友情と超能力と子守唄で宇宙人を何とかしちまうって設定に憧れた時期が俺にも有ったような無かったような。まぁ次回作でもペンシルロケット20と祈りでどうにかしちまう訳だが。
 それはそうと、エンディング終わっても、別に泣くことは無かったよなぁ。昔から感受性に欠けるのだろうか俺。まぁ広告の煽りを真に受けることも無いんだろうけどさ。
 
 さて、今更説明するまでも無いと思うが一応簡単に紹介すると、本作は任天堂から1989年に発売された糸井重里監修のRPG。アメリカの片田舎に住む超能力を持つ少年が、科学ヲタクなメガネと魔女っ娘超能力少女とヤンキーを引き連れて、世界の異変に何となく立ち向かう筋書きとなっている。それまでRPGと言えば『剣と魔法のファンタジー世界』を舞台にしたものが主流となっていた中で、敢えて現代世界っぽい場所を舞台に据えたSF(すこしふしぎ)な世界観を有する画期的な作品。
 また、敵を倒すのではなく『おとなしく』させたり『正気に返し』たりして経験を積み、それに応じて単身赴任の父親からお小遣いを銀行口座に振り込んで貰うというシステムや、(超能力が使えるから)テレパシーで動物と会話が出来るという設定、その他随所に散りばめられた小ネタの数々など、一歩間違えばバカゲーと呼ばれるであろうし、一歩踏み外せば作者の自己満足と詰られるであろう様々な特徴が見事に絡み合い、DQやFFとは違った新たなRPGのブランドとして「マザー」の名を当時プレイしたユーザーに刻み込んだ。
 
 ……まぁ、刻み込んだのはいいけれども次回作と次々回作が出るのが遅すぎて、些か風化している様な気がしなくも無いわけだが。