思い出の作品達 四十三回 「ナポレオン戦記」




 惜しい、実に惜しい作品。
 
 当時主流だった『現代大戦略』等の様な現代モノでもなく『三国志』『信長の野望』を筆頭とする古代〜中世歴史モノでもない、近代(それも人気の高いナポレオン)を取り扱った作品。後のRTSの原型と呼べる移動・戦闘システム(各個部隊にリアルタイムで複数のコマンドから適切な指示を出す)などが特徴的なのだが……FCにはこのシステムは早かった様で、正直な話『コツさえつかめれば楽勝、初心者には何をして良いか判らない』『結局のところ操作量を競うACTとなる(しかもFCのコントローラではその為に求められる操作性が悪過ぎる)』というRTSの負の面が現在のそれより強く現れている。現在のように情報共有の簡単な時代であれば様々な攻略法を各プレイヤー間で素早く共有して、その狭い門徒を広げる事も出来たのだろうが、当時は(人気ゲームのネタに関する口コミの情報伝播速度こそ驚くべきものがあったが)まだまだ情報伝達手段が限られていた時代。残念ながら本作は(当時としては)特異なシステムが仇となり操作性の悪さも手伝って、然程に注目されることも無く埋もれていった。
 ……惜しい。これを10年ぐらい練り込んでSFC末期〜PS中期に出せば局地的なヒットぐらいは狙えただろうに。
 
 まぁ、全ては後付けのこじ付けな解釈だが。当時の俺にとっては『よく判らんゲーム』という評価が全てだった。