思い出の作品達 五十九回 「ロマンシング サ・ガ」

ロマンシング サ・ガ

ロマンシング サ・ガ

 
 
 そう言えば、『殺してでもうばいとる』ような事は純真だった昔の俺には到底出来なかったなぁ、寧ろ禿の人には最後まで付き合ってもらったし。
 
 フリーシナリオRPGと銘打たれ、GBにて人気を博していたSa・GaシリーズのSFC上陸第一弾として華々しくデビューを飾った本作。慣れないうちは序盤から手詰まりになってしまう難易度や、何処で何をすれば良いのか判らない/何をしていたのか忘れるぐらいに突き放されたシステムに戸惑うだろうが、一度のめり込んでしまうと戦闘を極めようと苦心したり攻略手順をアレコレ考えてみたり、何も考えずに感じてみたりと様々な楽しみが見出せる奥深い作品となっている。
 無論、ありとあらゆるゲーム作品にとってそういった可能性は大なり小なり秘められている(例えば様々な縛り/拘りプレイであったり、早解きであったり)のだが、本作はそういったゲームのプレイスタイルの多様性こそ面白さだという点を作品のテーマとして打ち出した当時としては画期的な作品だったと言えよう。(今でこそそういった作品は少なからず存在しているが、当時攻略手順が本作ほど自由であり、ましてやそれを売りとするような作品は稀有だった。当時の子供達にとって、強敵との戦いを楽しみ自らの成長を楽しみ物語を楽しみ、精々早解きを楽しむといった辺りがRPGというジャンルへの認識だったと俺は思っている。) 無論、それまでにそういった作品が全く無かった事も無いだろうが、これも以前紹介した「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」と同様に、そういったスタイルを世間一般に広く知らしめたという事柄において非常に重要な転換点的な作品であったと言えるだろう。
 しかしながら、制作期間なり人員なりが足りなかったのかレイディバグに代表される多彩なバグやデータ解析なり攻略本なりミンストレルソングなりで明らかになった未搭載イベントの各種など、商品としてはともかく作品として未完成だったという点で残念ではあるけれども評価を下げなければならないだろう。無論、それが味だと言ってしまう事も可能ではあるが。(実際、ロマンシング サ・ガシリーズにおいて致命的っぽいバグとイベント削除は後のサガフロンティアに至るまで付いて回る事になるしな……だから、ヒューズシナリオを搭載した完全版SaGa Frontierをさっさと開発しろっての。)
 
 ところで、キャプテンキャプテンホークはホークでプレイする際の必須項目だと思うのだが、どうだろうか。