思い出の作品達 九十五回 「ラブクエスト」

ラブクエスト

ラブクエスト

 
 
 バカゲー、それもSFC屈指の濃さと完成度を誇るバカゲー
 クソゲーを自称しているが、本作は紛れも無くバカゲーである。
 
 全ての登場人物/全編に渡るシナリオの双方において、ひたすらに濃い内容がとことん詰め込まれている。システム自体はシナリオの暴走に比べて(「魔神英雄伝ワタル外伝」のラストダンジョン並の異常なエンカウント率を除けば)極普通の有り触れた代物を採用していたりするが、それを態々突っ込む様なメタネタをも詰め込まれていたりする……ある意味、その点では「セガガガ」に近いノリがあると評する事も出来るだろうか……いやまぁ、「セガガガ」程に徹底的に自虐ネタばかりではないけれども。他で近いノリの作品を上げろと言われれば『「ラサール石井のチャイルドクエスト」をもっと濃くした内容』といった感じだろうか。
 その余りもの濃さに幾つかの雑誌で取り上げられ価格が暴騰したり、挙句の果てに『世界に数本しかない筈のファミコン版の基盤がウン百万でネットオークションに出品』されたりと、何か存在自体がネタ化しているような本作……繰り返すが、シナリオ以外は凄まじく普通のRPGに過ぎない。まぁ、そのシナリオの逝かれ具合はレトロゲーム屈指過ぎるとは思うけどな。
 
 少々毒が強すぎるきらいがあるのでプレイする人間を選ぶと思うが、『クソゲーを自称するようなバカゲー』に興味を持つような捻くれた好奇心の強い人には是非ともプレイしていただきたい一品ではある。