思い出の作品達 九十八回 「ファイアーエムブレム 紋章の謎」

ファイアーエムブレム 紋章の謎

ファイアーエムブレム 紋章の謎

 
 
 とりあえず任天堂(と言うか、インテリジェントシステム)はリフに謝れ。正確には痕跡すら残さず無かった事にされたダロスとか(シューターの性能変更により)登場ステージからして消えたベックとか何か印象薄いロジャーとジェイクとかFC版では救済措置に登場したガトーとか、色々他にも謝るべきキャラクターは居るけれども何はともあれリフに謝れ。バランス変更&登場キャラクターの削減故の措置とは言えども、傷薬扱いは流石に酷すぎるだろうて。
 
 「ファイアーエムブレム」シリーズ第三弾にして第一作目の大幅追加リメイク作品。『亡国の王子が悪の竜を対峙して国を取り戻し、悪に染まったかつての戦友や黄泉帰った闇の竜を打ち滅ぼして大陸に平和と繁栄を齎す。』という典型的な貴種流離譚+少年漫画(或いはジュブナイル)的英雄譚の組み合わせな展開な本作。尤も、個々の登場人物を隅々まで見渡せばドロドロの人間関係が垣間見れたり、或いは親しみの持てる小悪党が散見されたりと、中々に特色に富んでいる。まぁ、使い込めば屋外マップでは結構使えたりするんだけどな、詐欺師。
 原作となっている初代がSRPGの草分け的存在である為、本作は幾つかの追加要素や変更点を含みながらもあくまで基本に忠実なシステムを採用している。『武器の回数制限(修理は特別なアイテムを特定人物が使う事によって数回のみ限定で可能なのみ、基本は使い捨て)』『移動と行動の1ユニット1ターン1移動1行動(再行動や再移動は原則無し、これも特別なアイテムを以下略)』『武器や魔法、アイテムを購入する為の資金はシナリオ上は有限。必要以上に資金を捻出する為には闘技場にてキャラロストの危険と闘いながら稼ぐ必要有り』『敵の数≒取得経験値の総数も有限、これも必要以上に鍛える場合は闘技場にて以下略』『聖戦以降にて基本となった三竦みの様な属性は無し、ただし一部のユニットに対する特効武器(飛空系にとっての弓、竜にとってのドラゴンキラー/ファルシオンなど)は存在』『成長はランダム、クラスチェンジ(以下CC)が出来るユニットはCCにより基本的なステータスを維持しつつ(一部修正を加えて)レベルが1に戻る、CCはレベル10以上の特定クラスのみ可能。故にレベルアップ回数はCC無しの場合は(19-初期登場レベル)回/CC有りの場合は(28〜38-初期登場レベル)回となる』辺りがシステムの特徴だろうか。読みにくければ飛ばしてもらっても問題は無い、並べ立てたところで言いたい事は『別段対して独自色のあるシステムを使っているわけではない、当時既に使い古されていたシステムが用いられている。』という事だったりするし。まぁ、逆に考えればそれだけ完成度が高い汎用性のあるシステムを初代にて作り上げていた訳だが。
 さて、本作は初代のリメイク+壮大な後日談をゲーム化した作品となっている訳だが……正直、大きく変わった点がある。ぶっちゃけ、『特定ユニットのグラフィック面における優遇(マリク・ジュリアン・リンダ・チキ、元々特殊ユニットのチェイニーも含むか?)』であったり、先に述べたシューターの仕様の大幅改変(戦車→固定砲台)であったり、二つのシナリオを詰め込んだ事による容量不足から第一部(初代リメイク)のマップが削られてしまっていたり、ついでにキャラクターも削られてしまっていたり、第二部においてえらく後付なのか元から決まっていたのかよく判らない設定が多数登場したり(チェイニーが竜人族だった、とか)、チェイニーのクラス『コマンド』の特殊能力である『へんしん』が妙な仕様変更(HPがコピー出来ない……チェイニーのHP自体は低いので、これでかなり使いにくいキャラクターに)されていたり、細かいところから大きな点まで幅広く変更点がある、というか書ききれん……いやまぁ、別に『本作が嫌い』だとか『糞仕様変更ウザイ』だとか言うつもりは無い。細かい点に拘るのはそれだけ好きな作品だったと言う訳で……愛情の裏返し?(歪んではいるがな。)
 
 まぁ、『聖戦の系譜』やそれ以降の作品と比べれば随分荒削りな作品ではあるが、逆にシステムやシナリオがシンプルなものだけに各マップの地形やユニット配置がそれぞれ考えられたものになっている。無論、強キャラのみで突き進める程度の難易度ではあるが、ちゃんと考えて育成/配置/行動をしないと『ドツボに嵌る』構成、或いはどんなキャラクターでも(それはもう惜しみない)愛と(リセットの繰り返しに耐える)根性と(最終的には一番重要な)運があれば最後まで使い続けられる設定の妙などが魅力的な本作。SFCの、それも13年も前の作品ではあるがSRPGにおける金字塔的な作品であるので、見プレイならば是非とも一度お試しいただきたい。というか四の五の言わずプレイしろ。