思い出の作品達 百回 「シムシティー」

シムシティー

シムシティー

 
 
 
 コンシューマ向けのシム・シリーズにおいて最も敷居が低く、親しみが持てるリメイクが為された作品ではなかろうか。MS-DOS版からプレイしていた俺としては、操作性以外で不満点は無かったしさ。
 
 本作は1990年(米国では1989年)の発売から90年代前半において、恐らく経営SLGとしては最も知名度の高かったであろう作品。(光栄の歴史モノの様な戦争(領土取り合戦)主体の作品はは純粋な経営SLGとは言えないので省く、それ以前の作品は……あぁ、一応「A列車で行こう」があったか。)リアルタイム『自動環境型』経営シミュレーションとしては草分け的な存在。プレイヤーのする事は用地や建物を建設し、交通を整え、税制を管理するのみ。後は全て『見ているだけ』という、仮に本作が文字情報のみで構成された作品ならば商業用ゲームとして成立したかどうかも怪しい作品である。しかし、グラフィックやプログラムに関する技術が急速に発展していた当時、リアルタイムに情報を更新し/画像を書き換え/操作を受け付けるという本作を成立させる要件を満たすだけの下地が整っていたからこそ、世に産まれ出でた作品といえるだろう。
 因みに本作の元ネタとなったのは、彼のクソゲー時代を先取りしすぎた作品として名高い「バンゲリングベイ」の開発ツール(確か、マップチップを設置するツールだったっけ?)だということは結構有名……だろうか。(まぁWikipediaにも書いてあるぐらいだから、それなりに知られているネタだろう。)
 
 さて、SFCへの移植の際にリメイクされた本作だが『季節によって移り変わるグラフィック』『一定の条件(都市人口や建造物設置数)を満たす事によって貰えるプレゼント』『コミカルに現状を分析/助言してくれるマスコットキャラクターの追加』等、初心者にも親しみやすく馴染みやすい様に補助的な要素が追加されている。これにより、原作では結構シビアだったバランスも『カジノや遊園地を設置する事によって序盤の資金難が軽減』『強力な警察署の効果で工業地区などの比較的高くなり易い地域犯罪発生率を軽減』『節目に貰えるプレゼントにて地価を上昇出来、都市発展が若干楽に』とかなりの初心者優遇措置が採られている。
 尤も、中盤以降〜終盤にかけてはプレゼントで役立つのは『埋め立て』ぐらいで、その他は基本=原作に忠実なプレイスタイルをとらないと最終的な目標である100万人都市は達成出来ない。つまり『序盤において慣れない初心者向けに救済措置を準備し、ゲームに慣れてくる時期には本来のゲームシステムにて楽しんでもらえる』様な設計となっているのである。敷居は低くなっているものの奥深さは変えず……流石は任天堂だなぁ。(儲の色眼鏡が結構入ってないか、その評価。)
 
 個人的には手軽さ/親しみやすさにおいて、その後複雑化していき操作量と情報量が莫大になっていった本シリーズの中において、尤も楽しい作品だと思う。一応原作の移植作に当たる「SimCity Classic Live」がネット上にてタダで遊べるので、コレを読んで本作に興味を持っていただけたのならば、一度お試しあれ。