思い出の作品達 第百十三回 「時空の覇者 Sa・Ga3 〜完結編〜」

サ・ガ3 時空の覇者

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 正直な話、「Sa・Ga3」としてではなく「(Final Fantasy)Mystic Quest Another」とか何とか銘打って出したら少しはマシな評価になったと思うんだが。ゲームとしての出来は悪くないんだし。名作とは言いがたいけれども、駄作とまで評される事にはならなかっただろうし。
 まぁここで問題となるのは『Sa・Gaシリーズらしくない』という一点のみな訳で……そして、「Sa・Ga3」としてはそれこそが尤も重大な瑕疵だと言えたりするのが困ったところ。ぶっちゃけ、この時期はロマサガに開発二部投入してたんだから、素直にSa・Gaシリーズは2を以って凍結しておけば良かったのに。
 いや、本当。結構面白いと思うんだがなぁ、本作。
 
 さて、本作は何が完結したのかは判らないがとりあえず人気を博していたRPG「Sa・Ga」シリーズのGBにおける最終作である。
 この後、SFCへ舞台を移し「Romancing Sa・Ga」シリーズを/更にPSにおいて「SaGa Frontier」シリーズを発売し、一定数の固定ファンを維持し続ける息の長いRPGシリーズへと拡大発展→収縮先鋭化していく。まぁその後、ちょっと見なかった事にしたくなる作品を挟んでRomancing Sa・Gaのリメイクにて息を吹き返したりと、中々に様々な試みにて『斬新さ』な『王道』作品を世に打ち出してゆく。
 ……そう、「Sa・Ga(或いはSaGa)」の名を冠する本シリーズの特徴は良きにしろ悪しきにしろ『斬新さ』を秘めている作品であると定義する事が出来る。尤も『斬新』であるという事は玉石混合と言えたりする訳で、「閃きシステム」や「連携システム」の様なとんでもない当たりを引いて今に至るまで高い評価を得る事もあれば、何かリールとか出てきちゃったりしてワゴン行きになる事もある訳である。
 そんな中で本作の立ち位置は一体何処にあるのだろうか?
 
 先ず、システム面についてだが『ランダム制の強い成長システムを廃し、経験値→レベル制を採用』『消耗品以外の武器・盾の使用回数制・複数装備を廃止、一般的なRPGに準ずる“装備品”扱いへ』『魔法の使用回数制を廃止、MP消費制を採用』『フリーパーティ制を廃止、ただし各種族は固定メンバーによる種族変化という形で残存』と、ざっと挙げるだけで前作・前々作と比べて大きく変わっていることが判る。(他にも細かい部分では前作で採用された『メモ』が廃止になっていたり、オート戦闘・オートターゲットが採用されていたり、といった変更が挙げられる。)
 これは、良く言えば誰でも親しみやすいシステムになったと評価出来るのだが、反面前作までのファンからは長所を潰して平凡な作品へと堕したと酷評される原因となってもいる。何せ、それまではパーティ編成や戦闘における行動、或いは武具の振り分けや使う方針などについてそれなりに考えてプレイする必要があり、それこそが「Sa・Ga」を他のRPGとは一線隔てた特別な作品と為していた特徴だっただけに、それを取り払って敷居を思いっきり下げた本作が酷評されるのは至極当然と言っても過言ではないだろう。
 
 次に、脚本・世界観についてだが……物語自体は王道な救世譚で、昔ながらのSF的要素(過去や未来へ行って因果律を改変する)であったり別世界へと渡って悪の根源へ挑んだりと痛快活劇な要素は残っている。また世界観についても従来の剣と魔法に近代〜未来技術を掛け合わせたカオスさが健在であり、聖剣妖刀と並んで重火器や核爆弾をぶっぱなす混沌さ加減については文句は無い。(因みに数少ない本作への好意的な評価の一つとして『核爆弾のエフェクトが歴代で一番格好良い』というのがあったりする。)
 後、一本道で平凡だとか記憶に残らないシナリオだとか酷評されるが、その辺りは偏見強過ぎるきらいがある様に思える。物語自体はシリーズを通しての変遷において順当な変化を遂げただけだと思うんだがなぁ。些かSa・GaというよりはFFに近いきらいはあるが、別段駄作だとか平凡とは思えない。妥当な評価としては中二病度が更に増しただけ、と思うんだが。
 
 あぁ、楽曲については文句は無い。尤も、音楽しか評価出来ないってのはゲームとして駄目な証左の一つだったりするが。
 本作担当の笹井隆司氏はレトロゲーマーには「Xak」、俺と同年代なら本作や「ルドラの秘宝」の担当といえば実力の程は理解していただけると思う。今はベーシストとして活躍しているとか。
 
 とりあえず、一切の先入観を捨てて一度プレイしてもらいたかったりする。
 少なくとも、一個の作品としては駄作というには惜しい作品なので。
 ……まぁ、「Sa・Ga」としては駄作と断言してもらって結構だがな。俺もするし。