思い出の作品達 第百四十五回 「アークザラッドII」
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本作自体も過剰過ぎる稼ぎさえしなければ、そこそこに硬くて強い敵との戦闘が楽しめるバランスも中々。
……問題は、時間が掛かり過ぎて中弛みする事だろうか。前作で指摘された部分を変えてみたのは判るけれども。
さて、本作はSCEの一応看板RPGタイトルにして今に至るまでポツポツと続編が出てしまっているシリーズの第二作目であり、シリーズ中最高の販売本数を誇る大作SRPGである。基本的なシステムは据え置かれているが、前作において非難が集中した本編容量の少なさや単純化されすぎたシステム、或いは前作ではあまり明らかにされなかった世界観の描写等に大きく手を入れて、シナリオ的な繋がり以外ではかなり別モノと言っても過言ではない程の変貌を遂げた作品である。また、メモリーカードを用いた『前作セーブデータのコンバート』(ATL1のクリアデータから一部のデータを引き継げる)をゲーム史上初めて採用した作品でもある。
『(本作が)アークザラッドの本編、1は序章/予告編』と揶揄されたりする様に、前作において一番批判の的となったゲームプレイ時間の少なさ/イベント・サブイベントの少なさを『これでもかッ!』と言わんばかりに増量しまくり、メイン・サブの総イベントを洗い浚いプレイするのに必要な時間は百時間以上と言う後年のDQ7も驚きの詰め込みっぷりを誇っている。尤も、SRPGというシステムであるが故に時間を食ってしまう部分も多く、シナリオ本編を無暗に並列進行にして、同じ時間軸の出来事を個々のキャラクターの行動毎に描写するなどのイベントは進行するが事態が進行しないシナリオパートが幾つか存在しており、所要時間に対してシナリオは若干薄目な部分はある。(いやまぁ、それでも百時間は伊達ではないのだが。)
また、システムについても前作のシンプルなモノを発展させたものとなっている。例えば、移動画面において世界→地域→市街・ダンジョンといった三段階のマップシステムはそのままながら、地域マップにてキャラクターシンボルを歩き回らせる事が出来るようにしていたり、アイテム関連においてショップシステムの導入や管理システムの大幅刷新・アイテム種類の爆発的な増量/装備システムの改良など、シンプル過ぎた前作に比べて様々な面でSRPGらしい部分の実装が行われている。
余談だが、ライトユーザーにコアゲーマー化を辿らせる手法として「シンプルながら取っ付き易いシステム」で慣れさせて/同時に飢えさせておいて、段階的により『濃い』作品を提供していくという手法が取りざたされたりするが(最近で言えばNDSでの脳トレ→New超髭の様な感じ)、ゲーム黎明期には自然と発生していたそれを、意図的に行った実験だったのかもしれない。どうでもいい話ではあるがな。
まぁSRPGとしては多少だれ気味になる詰めの甘さもあるし、中盤は展開が非常にダレるし、終盤は怒涛の展開なのに『最後の最後でそれかよッ!』と悪い意味でユーザーを裏切ってくれる展開にはかなり突っ込みどころが無いでも無いし、その設定を受け継いで更に破綻気味っぽくなった3以降は何だかなぁだし、ソフト開発/品質管理としてのSCEは本当に残念な企業としか言いようが無い。いやまぁ、みんゴルとGTがあるけどな。
1共々投げ売りされてるだろうから、興味があれば時間に余裕をもってプレイするのも良いかもしれない。
尤も、大きく期待すると色々裏切られるだろうけど。『そこそこ面白いぐらい』の感覚でプレイすると案外楽しめるかもしれない。実際に『惜しい』んだよなぁ……