思い出の作品達 第百四十九回 「バイオハザード」

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バイオハザードディレクターズカット デュアルショックVer.
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 言わずと知れた今やCAPCOMの看板タイトルが一つであり、ホラー/サスペンス系なアクション・アドベンチャーの中興の祖として、その後の作品の多くに影響を与えた名作だろう。殊、『恐怖』というテーマについて最も純粋に取り込んだであろう本作は、ファンの間でも今尚高い評価を得ている。
 
 往年のホラーRPGスウィートホーム」を元に、恐怖の演出に拘って製作されたADV。それが本作である。
 実写映像を用いた映画的な冒頭導入部&エンディング、開幕直後の印象的な『ゾンビ』の初登場シーンのカメラワークなど、ホラー映画を参考に『恐怖を覚える魅せ方』に拘った作り込みが光る本作。何処からともなく聞こえるCAPCOM社員ゾンビの呻き声や犬の遠吠え・カラスの鳴き声、或いは鏡や窓ガラスを割って突然躍り出てくる敵の、出現タイミングの絶妙さ。はたまた、効果音や背景音楽が書き立てる不安感etc...、続編や影響を受けた各種作品を並べ立てたとしても、本作ほどに恐怖を感じさせるよう作りこまれた作品は中々見当たらない。
 特徴的な操作系や初見の人間には多少辛さを覚えさせる難易度、或いは当時若干翳っていたブランドイメージなど、発売当初は然程注目されなかったのだが、実際に作品に触れた人間による口コミによって評判が高まり、ついにはミリオンヒットを飛ばすまでに至る事になる。その後、本作の世界観や設定を受け継いだ形で続編が製作され続ける事になるが、お家芸とも言うべきアクションゲームへの傾倒が進み、本来のテーマである『恐怖』については若干御座なりにされがちと批判の声も存在している。(その点、NGC版の本作リメイクは非常に宜しい作り直し加減だった。)
 
 さて、本作は『ゲーム』として捉えた場合、限られたアイテム・限られたりする時間・限られた空間においてキャラクターを操作し、道中の敵を倒し/かわして順にフラグを立て、物語を進行させていく。初心者やトリガーハッピーな人間にとってはゾンビ退治ゲームとして楽しむ事が出来るし、熟練したプレイヤー〜特にタイムアタッカー〜にとっては何処ぞの箱男よろしくステルスミッションを楽しむ事が可能だろう。或いは、劣悪な条件下からスタートする本作を、より一層深くやりこむ為に「ナイフクリア」と呼ばれる唯一使用回数無限大の武器「コンバットナイフ」を用いてプレイするユーザーが相当数存在していたりもする。
 と、随分とやり込める要素が色々と詰まっている訳なのだが、CAPCOM製でやり込み甲斐があるという事は、それは即ち壁となる凶悪な敵が用意されていることに他ならない。アクション要素が以降の続編に比べて低い本作でも、序盤のケルベロスや中盤以降のハンターといった初心者キラーな敵が用意されており、全世界で幾人ものクリスやジルが屠られた事は想像に難くない。
 『未知への恐怖』『突然襲い掛かってくる恐怖』を軸に、『一回死んで覚えろ!』と言わんばかりな敵の配置/登場は、何だかんだ言ってCAPCOM魔界村の頃から本質的には変わっていない事を感じさせなくもない。というか、二回目の洋館でのハンターとか、辛すぎる。首刎ねられまくった。orz
 
 残虐性が高く、凄惨なシーンが目に付く作品なので多少人を選ぶ部分があるものの、当時のスタッフの愛と青春と汗と涙と悪意が籠められた名作ADVである事は間違い無いだろう。数が出回っている分、かなり廉価で手に入れることが可能だろうから、未プレイならば一度は触ってみるべき作品。