思い出の作品達 第百六十九回 「BASTARD!虚ろなる神々の器」

BASTARD!虚ろなる神々の器

BASTARD!虚ろなる神々の器
BASTARD!虚ろなる神々の器
集英社 1996-12-28
売り上げランキング : 9994

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
BASTARD!!―黒い虹 (2) (集英社スーパーダッシュ文庫)
BASTARD!!―黒い虹〈1〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)
BASTARD!!―魍魎たちの鎮魂歌 (集英社スーパーダッシュ文庫)
BASTARD!!〈2〉悪魔の褥に横たわりて (集英社スーパーダッシュ文庫)
BASTARD 完全版 6 (6)
 正直、オンライン版はどうでもいいから本作のリメイクとかしてくれないものか。
 シナリオは原作ファンならかなり楽しめるものだし、難易度ややり込み要素も充実している意外に面白いRPGなんだしさ。
 
 SFC版で流行に乗ったつもりだったのか、原作者の趣味が反映されたのか、何とも良く判らない格闘ゲームとして世に出た事のある「Bastard!!」。
 原作は週刊→季刊→週刊→ウルトラとジャンプを渡り歩いて未だに完結の目処すら立っていない超遅筆と畳める筈も無い大風呂敷とHM/HRな固有名詞に定評のある作品だが、本作はちゃんと完結しているので安心である。因みに、原作15巻ぐらいまで目を通しておかないと全く楽しめないだろうから、一応注意は必要であろうか。まぁ、本作を今更探して買い求めるような人間ならば最低でも既刊全巻、若しかしたら完全版や同人まで揃えている兵だろうから態々注意の必要も無いだろう。
 本作は原作中盤から分岐したif編/番外編といった体裁をとっており、シナリオには小説版同様ベニー松山氏が起用され、原作本編では語られなかった脇役の人物相関図や活躍を『全員が謎の異世界で記憶喪失』といった設定の下で大胆に描いた物語となっている。往年のゲームブックを髣髴とさせる地の文や随所で描かれている原作登場人物達の意外な一面や殆ど触れられていなかった部分が原作ファンにはたまらない一品であると言えよう。ただし、PS初期の作品であり、一人称視点なダンジョンRPG(しかも360°移動可能)で位置関係や通路/宝箱といったオブジェクトの把握がし辛く、移動や描画の処理速度に難がある上にエンカウント率が非常に凶悪となっており、更には事前情報無しでは仲間の取りこぼしが必須というフラグ管理のし辛さも相俟って、かなりの忍耐力や愛が無いとまともにプレイし続ける事が辛い仕様となっている。しかも地味にマルチエンディングなので、丸々二周と少しはプレイ出来る/させられるという二週のプレイで忍耐力も二倍必要なのが更に辛い。グラディウスタワーもびっくりであろう。PS以降のFFが『ムービー/イベントの合間にゲームがある』と揶揄される事があるが、本作の場合も『物語本編の合間に延々戦闘とダンジョンが繰り広げられる』という、ご褒美目当て仕様な作品であると言えるかもしれない。ただ、戦闘自体は歯応えがあり凝ったシステムで出来うる限り『RPGで原作の雰囲気を再現しようとした』代物なので、エンカウント率に我慢が出来るなら、何だかんだで結構楽しかったりもするのだが。
 
 正直、原作ファンでなければ単に辛い暗いダンジョン巡りが待っているだけの悪調整な悪システムのダンジョンRPG
 原作ファンなら……まぁ、攻略サイトを参考にしながらなら、頑張れるぐらいの価値はあるかもしれないしないかもしれない。