駆け抜ける一条の矢

元ネタ:テイルズオブファンタジア

駆け抜ける一条の矢 第一話『転生』

 目が覚めると知らない天井を見つめていた、まぢで。


 いや、確か俺は夢遊病とか患ったことは無いし、誘拐とかされるほど裕福な家庭だったわけでもないはずだが。後、記憶を失うような行動も取った覚えも無い。昨日は酒も飲まず頭も打たず、普通に布団に入って寝ただけだったはずだ。
 しかし、無常にも今俺の目に入る景色は俺の記憶には無い。まず、部屋の造りからして違う。俺のアパートは鉄筋コンクリート製で、ヤニで黄ばんだ元白色の壁紙にベージュ色のカーペットを敷きつめてあり、六畳一間でガスコンロが備え付けられたキッチンにシステムバス付きなのに家賃が共益費込み35000円でお得な学生向け物件の一階角部屋だったはずだが、今目に入る限りではキッチンと風呂場が消えているし、壁紙は無いし、そもそも造りが木造で今居る場所は一回では無いらしく、窓からは広葉樹らしい樹木が繁っているのが確認出来る。後、天井には電灯は無く、代わりに手提げ式のランプが枕元に置いてある。と言うか電化製品が全く無い。
 他にも布団が妙に素朴と言うか粗末なものになってるとか、直に布団敷いて寝てたのがベットで寝ているとか、着ている服も何だか違和感があるとか、数え上げれば切りが無い。兎も角、現状をまとめるとこうなる。


 「夢?」


 おっと、ここでサプライズ。どうやら声まで変わってたようだ。何だかイイ感じに男前な声で俺が喋った。何か聞いた事の有るような無いような声だが、これでハッキリした。こりゃ、夢に違いない。うん、間違いない。ほら、証拠にほっぺたつねっても痛くな


「……痛いし」


 ……夢じゃねぇのか?