「Fate/stay night [Realta Nua]」

フェイト/ステイナイト[レアルタ・ヌア] extra edition

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 2004年初頭にPCにて発売され十数万本を売り上げ、翌年10月に発売されたファンディスクでも同規模の売り上げを計上し、更にそこから2年後、満を持してPS2に移植した本作……いや、本当に型月の伝奇活劇は化け物かと。以前にも言った覚えがあるが『Fate関連の販売本数だけで並みのブランドの総販売本数を超えている』ってのは、凄いよなぁ。いやまぁ、商業流通としてはFateの二作+PS2の移植一作しかまだ出てないんだけどさ。
 無論、若干の前評判や期待感、或いは同人上がりという特異性、伝説と化している前作『月姫』からのブランドファンなどの普通ではない要素はあったにせよ、それでも考えられない規模の作品であることには変わりは無い。一昔前のエルフには及ばないにせよ、商業的に大成功を収めたメーカーと言えるだろう。
 
 さて、商業的に成功を収めるには上に挙げたような事前に売れるだろう要素も重要だが、それ以上の肝心の中身も重要である。シナリオ、グラフィック、シナリオ、システム、エフェクト等々……ノベルゲームにおいて重要なパーツは様々にあるが、本作において最も重要なのは言うまでも無くシナリオと言えるだろう。
 はっきり言ってしまえばよくあるボーイ・ミーツ・ガールのバトルもの、少年漫画やそれこそライトノベルを探せば同系統の作品が幾らでも見つかりそうな題材ではある。それが何故、ここまで高い評価を得たのか?
 その理由を考えるに一つには独特の文体や世界観、もう一つには展開や構成の妙があるだろう。前作「月姫」、前々作「空の境界」より大枠において共通して存在する緻密にして大胆に積み上げられた膨大な設定に基づく描写が、或いは体言止めを多用する言い回しや独特のルビなどに代表される所謂「きのこ節」が、はたまた三部構成に基づいて同じ登場人物を主体としながらも全く違った展開を魅せる物語が、決して勝てぬ筈の敵を見事に勢いと納得出来るだけの理由に基づいて逆転してみせる展開が、「Fate/stay night」を伝奇活劇ノベルゲームという分野において一角の存在に昇華した理由だろうか。
 無論、シナリオと同等かそれ以上にグラフィックやサウンド、システムやエフェクトなども同人時代とは比較にならぬほどに進化しており、絵と音と楽曲と文章を融合させた、所謂ノベルゲームとして十二分の出来であると断言出来る。
 
 ところで、本作は冒頭においても軽く述べたが2004年1月30日に発売されたPC版の全年齢化移植作品である。正直なところ、歴戦のノベルゲームユーザーからすればこの時点で尻込みするだろう。過去、様々な作品がこの『移植作品』として晩節を汚しまくってきた事はもはや周知の事実と言っても過言では無い。このブログでも痛いほどに繰り返して来たが「Phantom of Inferno」「機神咆吼デモンベイン」など、PC版において非常に高い評価を受けた作品が移植によって『駄作』扱いを受けることなど、正直なところざらである。
 ところが、本作は珍しく『移植』されてもその輝きは然程失われてはいない。随所にソニーチェックは入っているのだろうが、一見して原作通りの展開を魅せ、問題だった『行為』の部分においてもアニメ版で描写された設定などを用いることによって無理なく消化していおり、画像の拡大で誤魔化したり肝心の台詞自体がカットされたデモベに比べて随分と作りこまれている事が判る。各場面における演出強化としてCGも追加されており、中には鳥肌モノの出来栄えだったりするのも高評価だろう。
 無論、文句は色々とある。アニメ版準拠のキャストによるフルボイス化はいいが、音声が読み上げられる分文章のテンポが遅くなりがちである事。マウスとキーボードを主体とした操作系からPS2コントローラによる操作系への変換により、文章送りやメニュー選択などの操作が随分ともたつく事、演出面は確かにPC版から強化されているけれども(あくまで印象だが)HAの使いまわし程度である事など、ぶっちゃけて言えば『PC版をプレイしていれば、フルボイス化(とラストエピソード、追加CG)に拘らない限り然程変化は無い』というベタ移植に近い代物だったりする。ついでに言えば、俺としては『武器の貯蔵は(ry』の場面の演出は原作の方が好きだ。
 
 結論としては、名移植(俺的には「あやかしびと〜幻妖異聞録〜」)とまでは言えなくとも、良移植と呼べる出来であり、原作をプレイ済みの人間であっても値段分の価値はあるだろう作品だと思われる。ただし、声優のキャスティングに異論があったり、或いは操作感などのもたつきが気になる場合は随分と評価が差し引かれるだろうが。