思い出の作品達 百六十六回 「不思議のダンジョン2 風来のシレン」TAKE2

不思議のダンジョン2 風来のシレン

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 「不思議のダンジョン トルネコの大冒険」にて当時の国内RPGゲーマーに広くローグライク・ダンジョンRPGというジャンルを知らしめたチュンソフトが満を持して送り出した、和風ローグライク・ダンジョンRPGの初代作にして、国内における本ジャンル作品の中でも屈指の名作の一つが本作である。本作と並ぶ、或いはそれを越えるローグライク・ダンジョンRPGは本作シリーズ以外では殆ど存在しないと言い切っても過言では無いだろう。あぁ、因みに本作シリーズと言ったが、3だけは別枠でカウントして良い。単語や登場キャラクターや一部設定に共通点が見られるだけで、別の世界観のお話なので別作品である。異論は認めない。(別に貶しているだけではない、アレはアレで良い所だってそれなりに存在する。単に本作シリーズとしてはカウント出来ない/したくないだけの話である。言うなれば、FFにおけるミスティッククエストの様な、或いはSa・Gaにおける3の様な存在だと考えてもらえば判り易いだろう。)
 
 本作を紹介する上で、驚かされるべきところとしては一部のバランスブレイカーを含めて、非常にバランスの取り方が絶妙である点だろう。今までローグライク・ダンジョンRPGに触れた事の無いプレイヤーへ向けての学習並びに救済措置としての「フェイの問題」の設置。本編シナリオであるテーブルマウンテン踏破に至るまで段階的に凶悪化/複雑化し、同時に前段階にて後段階における対処や判断について学習を行わせる様に、そして要所要所で壁となりうる様な配置された各階層のモンスター出現テーブルやワナ出現分布についての設定の妙。更には必要最低限の台詞回しや雰囲気を重視した独自の世界設定。また、本作で追加されたモンスターの成長要素や特殊能力の数々、様々な特殊効果を秘めた保管容器としての壷の登場、はたまた旅仲間という(正直ある程度慣れてしまえば役立たずなのだが)主人公に味方する旅仲間やダンジョン内外におけるイベントやお助け効果を発揮するNPCの採用等、枚挙に暇無い。
 これらの追加要素は前作において指摘されたであろう、初心者プレイヤーの苦手意識に対する救済として働くと同時に、熟練したプレイヤーに対してもダンジョン内における様々な行動の選択肢の幅を広げ、ゲーム自体の奥深さを増す事に成功していると言えるだろう。言うなれば、初代トルネコで散見された欠点を洗い流し、純粋にローグライク・ダンジョンRPGとしての進化を遂げ、基礎部分を完成させた作品と言えるだろう。
 
 無論、手放しで褒めるには本作はまだまだアラは多い。されども、絶妙な調整によって実感出来るプレイヤースキルの向上や何となく風情を感じる作品世界の雰囲気、そしてどう足掻いてもやられる時はやられてしまう無常感。それらはがっちりと後のシレンジャー達の心を鷲摑みにする事に成功し、後のシリーズ続編へと繋がっていく訳である……あぁ、繰り返すようで申し訳無いが、3はナンバリングタイトルから外しておくように。