治世の姦雄、乱世の英雄

ゲーム:三國志曹操伝 『よもやまさかのリメイク版』

コーエー定番シリーズ ツインキャンペーン 三國志VI&三國志曹操伝

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 今から20年前のことだった。ノストラダムスの大予言がネタとして旬を迎えていた頃、恐怖の大王は三国志まで染め上げていた事をご存知の諸兄はいるだろうか。累計シリーズ5作目にして集大成ともいうべき作品において、人気登場人物にとんでもない設定を捻じ込んだ作品を、覚えているだろうか。
 
 ――――『三國志曹操伝』。
https://web.archive.org/web/20071215025934/http://www.koei.co.jp/bgate/overseas/japanese/yokohama/products/sousou.htm

 
 英傑伝シリーズ5作目にして現在に至るまで最新作、つまりは最終作。
 KOEIのいつものパターンである『話題となっている人物評価・能力査定を爆上げした作品をリリースして一儲けしてやるぜヘッヘッヘ』作戦の元、『蒼天航路』に全力で影響を受けての作品となっていたことは、以前当ブログでも記した通りである。
 本シリーズにおいての三国志といえば英傑伝=劉備孔明伝=諸葛亮と、蜀陣営に焦点を当てた台本のみが発売されており、そもそも当時において三国志≒蜀が善という構図が現在の我々からは想像出来ないほどに定着しており、史実の影響を受けた解釈というのははっきりいってまず見受けられないものだった。羅貫中、そして吉川英治横山光輝らの手による呪縛は日本を強く縛り付けていたのである。いやまぁ、名作だから仕方が無いのだけれども。
 そんな中、90年代中盤より連載された『蒼天航路』による新たな三国志は歴史マニアどもの盲を啓くことになった訳で、その影響を諸に受けての作品が本作である。曹操≒悪ではなく、曹操≒既存概念の破壊者の解釈は織田信長(の一般的な解釈が)好きな日本人に受けたのか、瞬く間に人物再評価の流れを作り出し、新たなキャラクター性を三国志演義の登場人物たちに植えつけていくことになる。21世紀の現在、劉備≒ヤクザの印象はもはやある程度三国志を齧ったものにとっては当たり前といっても過言ではないだろう。
 
 さて、閑話休題
 そんな英傑伝シリーズの最終作にして異端児である本作ではあるが、長らく移植もされずほったらかしの状態となっていた。英傑伝や孔明伝が複数回の移植に恵まれ、毛利元就織田信長ですらPSへの移植を果たしている≒PS3までの本体でなら遊べるのに対し、本作は2005年の最新WindowsOS対応廉価版を最後に何の音沙汰も無く放置され続けていた。その所以はファンの間で様々にネタにされており『青ルートの魔王の陰謀』だとか『荀彧ファンが切れた』だとか『毛利元就 誓いの三矢がクソだったから』だとか『そもそも英傑伝シリーズ売れてないから』だとか、人の口の数だけ理由が溢れているような状態だったが、公式からのアナウンスはなく、放置されてされ続けていつのまにか19年もの月日が経過していた。
 誰もが、本作のことを忘れ去り、koei=オプーナ無双シリーズの会社という印象に成り下がってしまっていた2017年。突如として本作は復活することになる……韓国産のソシャゲとして。
 
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 『何だよソシャゲかよクソだな氏ねよ。』『半島産とかイラネ。』『変な改変加えられてそう。』『意味も無く李舜臣とか檀君とか出てきそう。』とか言いたい気持ちはよくわかる。俺も一瞬思った。ただ、まぁ一応待ちに待った曹操伝のリメイクであるからして、ファンの一人としては何だかんだで見つけたときには嬉しかったし、即座にダウンロードしたのは言うまでも無いし、かく言う今もプレイし続けている。
 
 作品としては何かとプレイヤー同士を争わせて、順位を競わせるソシャゲ要素な部分と原作やそこに準拠したソロプレイモードの二種類にある程度切り分けられており、掛かる時間を無視するならばソーシャル要素を殆ど無視して遊ぶ事も可能となっている。原作パートは周回プレイ前提の仕様となっているが、各ステージ/選択肢毎のやり直しが簡単に出来るようになっているので、原作のように一から最後までやり直さなくても問題は無いのが嬉しいところである。因みに、ステージ難易度調整も原作仕様となっているので、飼い殺し戦法は相変わらず凶悪である。ついでに言えば課金要素の兼ね合いで仕様上の最高レベルが更に上昇しているので、飼い殺し戦略で進めたときの難易度崩壊度合いは増加していたりする。
 
 何にせよ、ちまちま遊ぶのに丁度良いし、無(理のない)課金でもほどほどに楽しく遊べる作品となっているので、原作を遊んだ事のあるオッサンにはお勧めしたくある一品。是非、お試しあれ。