今日のおすすめ『貴志祐介「黒い家」』

黒い家

黒い家

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)




 教訓、『キチガイを調子に乗らせてはいけません』若しくは『キチガイに妥協してはいけません』。或いは直接的に『キチガイと関わってはいけません』。
 元生命保険会社勤務の著者が昔とった杵柄と書き下ろした傑作長編。映画化もされたが、そちらは今一つ。と言うか、多分これって実際に似たような事例体験したのでは無いか?と思わせる作品。
 ある一家と生命保険会社勤務の主人公を中心にした、サイコ・サスペンス・ホラー。縊死した子供を発見させられた主人公と死んだ子供、陰気な養父親、奇妙な母親。事実の究明に勤しむ主人公の周辺で、奇妙な見えない恐怖が襲い始める。この一件が自殺なのか、養父が犯人なのか……それとも?
 
 正直、個人的にはそういった事をやりかねない人間は意外と多い(世の中には抗議の為に焼身自殺したりする人種もいるぐらいだし……と言うか、菰田幸子のモデルって彼の人々のような気がする……穿ちすぎか?)と思うのだが、それでも実際に物語として読むと恐怖以外の何物でも無い。そういった点でサイコ・ホラーの王道な作品であり、おすすめだと思う。