今日のおすすめ『堺屋太一「豊臣秀長―ある補佐役の生涯」』




 1996年NHK大河ドラマ「秀吉」の原作の一つ。歴史小説としては評価の分かれるところではあるが、物語としては十分評価に値する作品であると思う。また、作中で触れられているが常に脇役として登場した太閤の弟・豊臣秀長を主軸に据えた数少ない作品であることも、著者の着眼点の高さを垣間見ることが出来ると言えよう。
 表題通り、豊臣政権を陰日向と無く支え続けた豊臣秀長の生涯を描いた作品。無論、物語で有るので歴史学的に不正確な描写も幾つか見られるが、そんなことを気にしていては歴史小説を楽しむことは出来ない。その辺りを割り切って読めば『面白くためになる』歴史小説の真髄を満たした優秀な作品であると言えよう。おすすめ。