思い出の作品達 第百三十回 「俺の屍を越えてゆけ」

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俺の屍を越えてゆけ PS one Books
俺の屍を越えてゆけ PS one Books
ソニー・コンピュータエンタテインメント 2004-10-28
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 鬼才、桝田省治の監修したRPGの一つ。
 家系・一族に拘った育成系RPGとしてカルト的な人気を誇る作品である。
 
 『短命の呪い』により2年程で寿命を向かえ、『種絶の呪い』によって人との間に子を生せなくなった主人公一族。
 一族に降りかかった呪いを打ち払い、初代当主夫妻の敵を討つ為に京の都を脅かす朱点童子へ挑む討伐記。
 戦って力と財を蓄え、神と交わり子に力を伝え、悲願を果たす為に数代〜数十代に渡って戦い続ける事になる。
 本作を思いっきり単純に纏めると、概ねこんな感じで伝えられると思う。まぁ、後半語られる要素を挟めばもう少し事情があるのだが。
 ……因みに、直接敵を討たなくても一族が累計256人に至ると自動的にエンディングへ至ったりする仕様なのは秘密だ。
 
 『人間ダビスタ』と例えられる本作の特異なシステムにより、個々のキャラクターはどれほど頑張っても通常は2年前後で寿命を迎える。その代わり、戦闘にて稼いだ「奉納点」を捧げて神と交わり、己の鍛えた遺伝情報を子孫に伝えて行く事によって徐々に一族を強化することが出来る……ということは、獲得形質を遺伝させている事になるから、厳密には遺伝と言い難い気もするけれども。まぁ、お相手が神様だから特別なんだろう。
 そうして、一族を鍛え、増やし、徐々に迷宮を踏破してゆき、最終的に朱点童子へ挑む……だけでは無かったりするのだが、その辺りは実際にプレイしてのお楽しみ。敢えて言うならば。『朱点童子』を倒した後が本番と言っても過言では無いだろう。物語の展開としても、その辺りから単純な善悪二極から両陣営(主人公陣営の後ろ盾たる神々/朱点童子)それぞれの様々な背景や思惑が語られ始める。『シナリオは最低限準備した』と説明書内で語っている割には随分と気合の入った物語となっているので、シナリオ重視なプレイヤーでも満足出来る内容だろう。
 また、本作では上記の世代交代システム以外にも
 『ダンジョン内での行動や老衰によって減少する「健康度」を用いたパラメータ/寿命の管理』
 『ダンジョン内にて常時流れる時間の概念と、モード毎に切り替わる時間の速度/戦闘難易度』
 『一定以上を保っていないと一族が家出してしまう「忠誠度」を絡めた人員管理』
 『自動制御型スロットを用いたドロップアイテム判別』
 『敵味方陣営共に「大将」を定め、これが倒されると全滅扱いになる』
 『同じ攻撃術を同時に使うことによって威力を爆発的に高める「併せ」』
 等、独特のシステムが多数導入されている。これにより、少々とっつき難い部分(特にダンジョン探索辺り)があるが、慣れれば慣れるほどにのめり込める完成度の高さが実感出来る仕様となっている。伊達に構想3年を謳ってはいない。
 
 何も考えずにシナリオを追って敵討ちを推し進めるも良し、
 京の復興やアイテム収集等の脇道へ血眼になって駆け回るも良し、
 何だったら、最低限の討伐で奉納点を稼いで世代交代し続けるだけでも良い……詰らないだろうけど。