機神咆吼デモンベイン

 久しぶりにPS2を起動したら、年末の暇つぶしに何とは無しにプレイしていたデモンベインが入ったままになっていた。この作品については非常に陰陽共々思い入れが深いので少し語ってみることにする。
 まず、世界観についてだが20世紀初頭?のアメリカを元にクトゥルー神話の設定を加えたスーパーロボットものというのは非常に今までに無い切り口であった。まぁクトゥルー神話自体は、一般に広く知られているとまでは行かないものの一部には既に広く知られた存在であり、それ程珍しい設定ではない。スーパーロボットものの話など日本には腐るほど満ち溢れている。だが、それらを組み合わせた作品は殆ど無く、ましてや秀逸な作品などこの作品以外を見渡しても見つからないのではと思えるほどだ。
 グラフィック面・サウンド面でのレベルの高さはもはや語るまでも無く、シナリオ面でも幾分荒さは見えるものの仕上がりは十分第一線級であり、エンディングの一つで触れられていた旧神に対する言及などクトゥルーファンを唸らせる出来であった。
 一昨年に発表されたPC版である「斬魔大聖デモンベイン」でその直撃を喰らった俺などはすぐさま本屋に駆け込みラヴクラフト全集やロバート・ブロック、ブライアン・ラムレイらの作品を買い求め、幾度と無く通読したものだった。
 そして幾度かの延期はあったものの、『フルボイス化』『CG・MOVIE大量追加』と満を持してのPS2移植を向かえ、俺を中心とした儲は先を争って販売店へ駆け込み一秒でも早くとこの作品を入手した。
 だが、この作品……前述した部分には確かに問題は無いどころか大満足だったのだが、如何せんシステム部分が凄まじく不出来だった。音声読み込みにウェイトがかかる・DVDやメモリーカードの読み込みが遅い・スキップは遅い辺りの快適なプレイに対して最大の障害となる部分で幾つもの欠陥があったのだ。因みに、過去に移植された「Phantom of Inferno」のDVD-PG版やPS2版でもそれらの欠点は見られたが、今回の欠陥はそれらを軽く上回るレベルだった。何せ『スキップ機能使うぐらいなら○ボタンを連射した方が早い』ぐらいだったのだから。PC版が快適な操作系を有していた分、この点は厳しく評価された。
 それでも、既存の声優は勿論のこと新たに参加した声優陣の熱演や新しく追加された楽曲やCGの素晴らしさ、ついでにソニーチェックの笑える回避等々楽しめる要素は十二分に存在している。だが、それらを上回る操作系の不具合が存在していた為に儲の間でさえ不平不満が蔓延する事になった。
 今後同社の他作品を移植する事があるなら(次は「吸血殲鬼ヴェドゴニア」あたりか?)操作面でもPC版に劣らない快適性を保ってもらいたいものだ。
 
 機神咆吼デモンベインDXパック asin:B0001BU6VQ
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