クロノベルト 「復讐するは神になし」

クロノベルト -あやかしびと&BulletButlers クロスオーバーディスク-

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propeller 2008-05-23
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 「かりそめの旅人」においては神沢市を訪れたアルフレッドが、過去に忘れてきた様々なモノを取り戻し、自らが往く道を自覚するまでが語られた訳だが、本章「復讐するは神になし」ではオセロットシティを訪れた九鬼耀鋼が『復讐を完遂』するまでが描かれたショートシナリオとなる。作中では(本編のトーニャルート、或いは刀子ルートで片鱗を覗かせたり、双七の回想に度々登場した)鬼へと至る以前の『何処までも人間らしい』九鬼耀鋼の姿が描写されている。
 
 本章の前提となるのはすずルートの怪獣大決戦に至らないEND、セラフ未使用で決着を付けたアレ。復讐を確実に行う為に自らを研鑽し続け、人として鍛え、鍛え抜いて、人を超え、人を捨てた後に最高の復讐の瞬間を目前にまで捉えたにも関わらず、遂には復讐を果たす事が出来ずに自らを完全に鬼と化して愛弟子と相対し、破れた。積年の願いを果たす事も無く、圧倒的な力を振るう事も無く、ただ僅かに残っていた人としての強さ/弱さを以って愛弟子に敗れた一人の鬼が、翻弄され続けた運命の悪戯の果てに最後に残った未練を昇華させるまでの道程が主に彼の視点で描かれている。
 同時に本章は「あやかしびと」本編で一切の救いが無かった氷鷹一奈への救済シナリオとなっている。下手人が違う場合はあれども、本編内で100%殺されてしまう彼女が死後に願った『もし、当たり前に幸せだったなら』という未練が果たされていく情景が、されども過去に背負いし自らの罪科に苦しみ悶える過程が、そして至極当然の答えに辿り着く結末を以って、彼女が救われる様子が語られている。
 
 復讐者とその贄たる咎人の、二つの物語を平行させ/錯綜させて描かれている為に、本章は完全に二人の物語となってしまっている。ぶっちゃけて言えば残りの「Bullet Butlers」の面々は本編で出番が少なかったコゼットを除き、軒並み脇役になってしまっている。九鬼とCVが被っている某兄貴に至っては出番無しだったりするし。(ついでに言えば狩人とCVが被っているホープも出番無し、その代わりにウラジミールで出番の無かった雷電さんはガラでワンカット出番がある。)
 その分、九鬼が八面六臂の大活躍をしていたりするが。もう、大活躍なんてレベルじゃない。言うなれば九鬼無双。九人の大魔法使いの一人であるエルネスタを撃退し、バジリスクの呪いの仮面でブーストしているコゼットを蹴散らし、有象無象の雑魚を殲滅し、遂にはエメス・トラブラム持ちの聖堂評議会幹部を仕留めるまでに至っている。当然、徒手空拳で。正に、作中の言葉を借りれば『君が人間のデフォルトだったから大いなる神は天国でぶち殺されている』に違いない。本編未出だった焔閻魔(対コゼット戦で止めを刺した技がそれっぽい)・焔鎚(対マグダラ戦にて、技名描写有り)等の九鬼流絶招も大盤振る舞いで繰り出す九鬼耀鋼がゴルトロックで掌底フィーバーWOWな内容。一対多の戦闘描写や復讐を軸にすえた展開となっている為に、全般的にコメディ色は薄れシリアスな路線でのシナリオとなっているが、これはテーマがテーマだけに仕方が無いところだろう。「Bullet Butlers」のファンはちょっと涙目。
 

  • 九鬼耀鋼
    • すずルートのセラフ未使用ENDからの分岐、人として自分を撃破した双七に影響されたのか、はたまた本来の資質か、復讐心を昇華させて義務感のみで一奈殺害を追い求める復讐者としてオセロットシティに降り立った……のだが、当の相手である一奈が復讐の対象であった出来事自体を無かった事として消し去ってしまっていたが故に、拳の振り下ろすべき場所を見失い、彼女の殺害を断念する事になる。その後、聖堂評議会に攫われた一奈に対し『本来殺しているべき命を救った責任』として、彼女の救出に力を貸す事になる。そして、最後の最後に過去の様相へ覚醒しかけた一奈を諌め、『復讐を完遂』し、未練を果たす。虚無主義な言動や圧倒的な強さは上記に述べた様に相変わらずだが、本章ではそれだけではなく『教師』や『師匠』といった教育者としての側面や『父親』としての側面において、本編で描ききれなかった部分が描写されている。因みに、ゴルトロックでの戦績は全勝。まさに妖怪を討つ術技を極めた男の面目躍如と言ったところだろう。
  • 氷鷹一奈
    • 本編でも語られていた様に、幼少時の虐待から捻じ曲がり歪んだ運命を歩まざるを得なかった能動的な『アルフレッド』と言えるかも知れない彼女だが、本章ではそういった生前に辿った道筋を全て忘れてやり直している様が描かれている。というか、姉貴(とCVが同じ無機物)と同じくキャラが変わり過ぎて困る。本編では得られなかった母性をコゼットから、父性を皮肉な事に九鬼から与えられる事によって、有り得た未来のやり直しを果たしていきそうな感じ。
  • リック・アロースミス
    • 主人公だった人。出番、殆ど無し。
  • ベイル・ハウター
    • そもそも存在してません。人気投票一位だがセルマルート後の設定なのでまぁ仕方が無かろう。残念。
  • ルダ・グレフィンド
    • 顔出し程度に出演していたりする。まぁ、向こうでの出番もあるから出れただけでもいいのかもしれない。
  • セルマ・フォルテンマイヤー
    • メインヒロインだった人。出番、これまた限定。人気投票一位なのになぁ。
  • ヴァレリア・フォレスター
    • ヒロインその1だった人。出番、凄く限られていたり。
  • 渡良瀬雪
    • ヒロインその2だった人。ヒロイン陣で一番扱いが悪いかもしれない。
  • コゼット・レングランス
    • サブヒロインから一気に昇格、本章ではシナリオにバトルに大活躍を見せる。九鬼との対戦では星を譲るものの、その後クライマックス直前の戦いでは聖堂評議会の精鋭10人を相手に激戦を繰り広げる……まぁその頃、幹部を含む残りの面子全てを九鬼が蹴散らしていた訳だけれども。一奈に対する無償の愛を与え、彼女の更生に大きな役割を果たすことになった。
  • アッシュ・ガープリング
    • 本編活躍組なので、出番は殆ど無し。しかし、周りに振り回されっぱなしな今回の扱いは流石にどうかと。
  • キャロル・ピール
    • 一応本編活躍組だからか、出番は序盤と中盤ぐらい。いやまぁ、そもそも終盤部分はBB主要面子一切出番無いんだけどさ。
  • エルネスタ・ディートリッヒ
    • 同じく本編活躍組なので、出番は序盤に限られているのだが、九鬼の強さを際立たせる為とはいえ、名に恥じない活躍を見せる。
  • ガラ・ラ・レッドウッド
    • これまた本編活躍組なので、出番は限定的。だが、ワンシーンながらも印象に残る登場な辺りは流石ルート乗っ取りの実績といったところか。
  • マグダラ
    • 小説版より登場、エメス・トラブラムを用いて虚実入り乱れる駆け引きと見かけに拠らない膂力にて九鬼を追い詰めるが、詰めを誤り撃退される事になる。まぁ相手が悪かったと言えるだろう。本作における立ち位置はロリっ娘なニャル様。徹底的に利己主義であり神算鬼謀を張り巡らす策士。
  • 雲外鏡・鏡
    • 姉に比べると積極的に観察対象に肩入れしている、まぁ状況が状況だけに仕方無く協力させられていたというのが真実に近い気もするが。気の強い姉とは違い、若干天然気味なところがある。教会でのワンシーンとか。