UltimaOnline Shard OverDrive

 『家を建てよう!』
 Nintenは唐突に思った。
 駆け出しの冒険者である彼は、自分の城に憧れていた。
かつての世界では高値を払ってもちっぽけな小屋しか手に入れられなかった分、
広大な土地の広がるこの地では何としてでも自分で屋敷を立てようと思っていた。
 しかし、このブリタニアでも家を建てるには先立つものが必要となる。
無論、建売の住宅を買うよりは随分と(破格と言っていい)額が小さくなるが、
それでも駆け出しの冒険者が簡単に準備できるような金額ではない。

 20万GP、彼が望む家を立てるのに必要な金額である。

 その日彼はいつもの墓場通いをせず、紅い悪魔を引き連れてムーンゲートへと向かった。

 しばらくして灰色のローブに身を包んだ貧相な男が、治療所の前に佇んでいた。

 『……海は広いよな……』
 一本の釣竿と一艘の小船を手に、彼は己が次に出来そうな事を模索し始めていた……

 と言う事で、家を建てるために稼ぎに走ることにした。と言うのも生産系スキルを上げるには家が無いことには効率が落ちすぎるし、各種の独自レアアイテムに溢れかえっているこのサーバでは銀行はお金だけを入れる場所になる事は恐らく必然だろうから、早いうちにセキュアを確保したかったと言うのもある。
 しかし、狩場の知識もスキルもステータスもテクニックも足りない現状では吶喊→玉砕を繰り返すだけだったので、段々嫌になってきて、結局釣竿と船を買ってマクロ組んで放置してみた。GiftTicketが以外に儲かるようなので、さしあたっての元手を稼いでみようというわけである。


 結果、船上に魚と靴が散乱し、片付けに困ったはここだけの内緒である。