思い出の作品達 六十九回 「ヘラクレスの栄光4 神々からの贈り物」

ヘラクレスの栄光4 神々からの贈り物

ヘラクレスの栄光4 神々からの贈り物

 
 
 前作から正当派へと変化を遂げた作品、市場にあわせてか若干難易度の低下が見られ『よくあるRPG』として作られている。
 ……FC時代もそうだったけれども、変化球の後に直球持ってくるのは基本と言えば基本か。
 
 前作が緻密な伏線や叙述トリック的な表現を以って、終盤にどんでん返しを仕込んだ作品だったのに対して、本作は作中の雰囲気やテーマ性自体は前作のそれを引き継いではいるものの、表現手法や演出面では王道な路線……卑怯な言い回しを用いれば『PS以降のFFっぽい舞台回し』……へと変化している。故に安定した面白さはあるものの、若干意外性に欠ける面が多々見られるのが個人的には残念でもある。
 尤も、システム周りのユーザビリティの向上(アイテム管理画面など……まぁこれは難易度低下の一因であったりするけれども)や体を持たない主人公達の表現として取り入れられた憑依システム(100種類あるものの、結局使い勝手の良いものしか使わないが)、或いは2年の歳月を経て飛躍的に進歩したグラフィック/サウンドなど見るべき点は多々あるが、作品としての完成度を上昇させる余りに作品を通じてプレイヤーへ与える印象が希薄になっている感がどうしても拭えない……まぁ、前作以上の変化球な作品を作られても意味不明になるだけだとは思うけれども。
 ただ、ここまで文句を並べておいてなんだが、何だかんだいって本作は名作であると思う。前作が『後半のクライマックスに全てを賭したが故に前半部における単調さや退屈感が拭えない』という欠点があるのに対して本作は『前作ほどの逆転劇は無いものの個々のイベント間にメリハリがあり、常に楽しく遊べる作品に仕上がっている』という長所が備わっているからだろうか。