思い出の作品達 第百五十八回 「テイルズオブデスティニー2」

テイルズ オブ デスティニー2 / テイルズ オブ デスティニー2 MEGA HITS!

テイルズ オブ デスティニー2
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 やはり若本は偉大だ。電波気味だったり自己陶酔が酷かったりする脇役・悪役に定評があるよな。
 尤も、個人的には渋く脇役・悪役をこなす若本が好みだったりするんだが。(脇役って程じゃないけど)銀英伝ロイエンタールとか。
 いやまぁ、ToD2についてのみ言及するならばバルバトスは若本以外にはこなせない難しい役どころではあると思うけれどもさ。
 (インパクト最重視な輩なので、若本以外には……あ、大塚明夫とかもいいかもしれん。リーガルで出てるけど。)
 
 正直、何だかんだ言って結構遊べる作品ではあるんだよな。
 ただし、革新なシステムを導入しプレイ時の敷居が高くなってしまっていたり、続編の割には色々と物議を醸し出すシナリオであったりといった部分が、本作の評判を不当と言える域まで貶めている部分は確かに存在すると思う。いやまぁ、俺とてそう思っていた時期はあるけどさ。何せ、慣れないと最低難易度でも中盤で詰みかねない戦闘バランスだし、前作主人公があんな扱いだったりするし、前作に思い入れがあったりすると批判的になってしまうのも判らんでもない。所謂、『続編にせず新規作として出していれば良かったのに』と言う奴だな。実際問題、設定改変が酷い部分もあるから下手に繋げる位なら新作としてリリースした方が評判は良かったと思う部分は無いではない。尤も、それやるとリバース・レジェンディア級の扱いで止まったかもしれないけどな。良くも悪くも、前作の知名度によって評価が上下した作品といえるかもしれない。
 
 PSからPS2にプラットホームを移した事による更なる爆発的な容量増加により、本シリーズの特徴が更に特化され良くも悪くも『キャラクターゲーム』としての側面が強化された本作。(尤も、本作より前に『テイルズオブファンダム vol.1』が発売されるなど、既にキャラゲとしての性質は確立していたりはしたのだが。)豊富なスクリーンチャットやサブイベントの数々など、本筋よりもある意味充実しているような気がしなくも無い。
 また、TPをステータス制から割合制へと変更したりSPを導入したりする事により、漫然と殴るのではなく駆け引きを重視した戦術的要素の強いシステムを導入した事により戦闘時の緊張感や操作の臨場感を増し、更には物理攻撃の弱体化と昌術の強化を行う事により、それまでの作品では初心者には軽視されがちだった昌術にかなりスポットライトが当てたバランス調整が為されている。従来のシリーズでは前衛が主力で後衛があくまでその補助、といった印象が強いが、本作では前衛は後衛の護衛・或いは露払い/牽制といった印象のバランスとなっている。これは、戦闘を楽しむユーザーからは高い評価を得たが、同時にかなりのユーザーから難易度が高過ぎるといった批判の対象となっている。同時に、武具についても一風変わったシステムを採用しており、それぞれの固有能力値に加えて多様な特殊能力を付加する事により、様々な効果を持つ武具を自作出来る仕様となっている。(一部、能力固定の武具も存在するが、最終的にはそれらを上回るモノを作り上げる事が可能。)
 他にも、本作を語る上で欠かすことが出来ない存在として魅力的な敵役『バルバトス・ゲーティア』を忘れる事は出来ないだろう。CV:若本規夫による個性的過ぎる演技と圧倒的な力でシナリオの要所要所で主人公達の前に立ち塞がるその姿は、本作プレイヤーの大多数に強い印象を刻み込んでおり、ラスボスの存在感をあっさり消し飛ばすぐらいにToD2=穴子の公式を成立させていたりする。彼の理不尽極まりない逆切れとそれに伴う末期的中二病ネーミングな必殺技に泣かされたプレイヤーは数多くいるに違いないだろう。或いは、誰がどう考えてもウソテクにしか思えない『三周目以降、ジューダスの正体が明かされるイベント以降に、戦闘中ある秘奥義を発動させた際、SPゲージが一定値以上でタイミング良く○ボタンを押すと、隠し秘奥義発動』という小学生の噂話の様な隠し要素が実装されていたり、というのもあったっけ。
 
 個人的にプレイを振り返ってみると、意外に世間での評判の割には楽しめた印象が強い。よく『主人公が駄目過ぎる』と言われ『ジューダスが人気故に贔屓され過ぎている』『前作の設定崩壊し過ぎ』と揶揄される事が多い本作であり、実際問題真実の一端を突いている部分は確かに有るのだが、駄目な主人公は成長するし、設定崩壊は最後には綺麗に纏められてはいなくもないし、シナリオの展開上ジューダスがある程度ピックアップされるのは必然性のある要求ではある。尤も、だからと言って本作を全面的に肯定することは非常に困難であり、少なくともシナリオ面については『良く出来たオリジナル度合いの強い二次創作』との謗りを逃れる事は難しいだろう。
 まぁ、肩の力を抜いて前作の事は脇に置いて、気軽にプレイするのが本作の正しい楽しみ方の様な気がする。