CHAOS;HEAD 「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!」

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 こ れ は ひ ど い 。
 何と言うか、ニヤニヤしながらプレイするべきなのか頭抱えて悶えながらプレイするべきなのか困る作品。
 しかも下手に15禁で出しているから、其の辺りの要素がブーストされている様な。寸止めであるが故に、主人公が絵に描いた様な邪気眼(笑)であるが故に、やってるプレイヤーも身につまされたり何となく落ち着かない気分にさせられたりする作品というか、こんなのNitro+じゃねぇ。アレだ、今ならデモベ出た時に古参が鋼屋シナリオを叩いていた気分を少しだけ理解出来る気がする。ここまで系統が違うというのはブランドとしてどうかと思わなくも無い。
 まぁ、そういう時は文句を言わずにマインドセットを切り替えて単品の作品として他作品と比べずに楽しむのが大人のマナーという奴だろう。いやまぁ、本作は必ずしも大人向けって訳じゃないんだが。R指定だし。というか、面白い事は面白いよ。今までにも増して果てしなくイタいけれどもだ。
 
 とりあえず、序盤をチマチマとプレイ中。主人公の演技が変にリアルで感心していたりする。これで刑二郎(by あやかしびと)と中の人が一緒だと言うのだから、声優という人々は凄いものである。しかし、主人公が半ば引き篭もりでネトゲ廃人でアニヲタ・ゲーヲタでフィギュアが俺の嫁って設定、正直どうかと思う。まぁ、剣術薀蓄ゲームにGOサインだすメーカーだからこの程度なら全く以って許容範囲なのかもしれない。(尤も、新作予定を見るに従来のイメージから脱却しようとしている雰囲気は感じなくも無いんだが……ガチで萌えゲー作ると東京上空ドッグファイトで純愛ゲーを作るとグロさが炸裂するメーカーだけに油断は出来ない。スマガとか、一体全体どんな変化球になっているのだろうか……まぁ、ドグラQとか村正(仮)が相変わらずっぽいので、心配する必要はなさそうだけれども。)
 
 ・第一章『Eyes in eyes.』
  世界観や主人公周辺についての冒頭説明と伏線を張り巡らせる事に徹したお話。
  現実と妄想の境目が曖昧となっていく様子が丸々一話を以って綴られている。
  引き篭もりがちの主人公が僅かな接点で出会った優愛との関係に繰り広げる葛藤の具合が見所か。
  ……いやまぁ、酷い釣りだった訳だけれども。最後の最後でどんでん返しの上に謎を提示して終了。
 
  後、どうでもいいが実妹についての件にはかなり同意。実妹なんざ、母親と同列で絶対萌えない粗大ゴミである。
 
 ・第二章『Click me.』
  前章末尾から本章冒頭において、過去における主人公の異能らしき力が語られる。恐らくフェイク、ミスリードの類と予想。前章で意味有りげに挿入され、本章で焦点が当てられた予言歌詞についても同様。正直、インディーズバンドに有り勝ちなタイプの歌詞っぽいしなぁ。尤も、ただそれだけでは終わらせないとも同時に思うが。
  というか、その時間軸では有り得ない画像データの入手とか予知能力関係無くね?PCのキャッシュに未来のデータを仕込めるとか、寧ろ時空間制御の類と判別するべきだと思うんだが。ついでに言えば、チャットで未来の自分と自作自演していたとすれば、その場に居た筈の第三の人物も同時に疑うべき存在として浮かび上がってくる訳だが……後、実際には難しいが物語的には有り勝ちなハッキングによるデータの差し替えとか。
  また、超常的能力と同様にメタ世界観説を匂わせる言動や主人公の幻覚や脳神経系の疾患を疑わせる脚本展開が見られ、また、何らかの研究機関が絡んでいる事を匂わせる描写も……全く、情報が多過ぎて予想が立て辛い。
  まぁ、本作が『妄想科学』と銘打っている以上、幾分かは主人公の妄想/記憶違いで解決されるのだろうか。
 
  と言ったところで第四の事件が発生し、本章終了。
 
 ・第三章『将軍』
  何やら冒頭から何らかの研究機関の動向らしきシーンが挿入される。ここから本作における主人公の妄想が全くの空想ではない可能性が立ち上がってくる。態々作中でそういったシーンを挿入する以上、何らかの伏線に当たるだろう事は明白だからである。無論、意地の悪いシナリオならば全くのミスリードである可能性も否定は出来ないが、そこまで深読みする程の代物でもないだろう。推理を謳っている訳でも無い事だし。
  続くシーンにおいて、作中で開幕以来度々登場する『剣』についての描写が現れる。どうやら、持ち主(達?)と主人公にしか見えない代物らしく、ここの会話からも非日常的な現象は作中世界において実在しており、主人公の妄想に完結するような者でも無さそうな事である事が引き出される。しかし、剣を持つ以上はそれを振り回して戦う相手が物語として必要になる訳だが、何と戦うんだろうか。ここに至るまで敵らしい敵の直接的描写は無いに等しいしなぁ。ミスリードに引っ掛かり気味な変化球的推測かもしれないが、作中世界がMMORPGな世界で、『その目』は作中世界にアクセスしている上部世界のプレイヤーの目で、『剣』はPCが装備しているアイテム……という仮説を酔った勢いででっち上げてみた。大いに外れる可能性があるので請うご期待。
  っと、本章で漸くラジオの相方が現れる。襲撃的な意味で。しかし登場シーンの描写からするに記憶の非連続を伴う二重人格か何かの発症/発生がまた一つ明らかになったっぽい。個人的な予想としては平行世界との部分的な重複説を唱えてみる。路地を抜けるとそこは異世界であり、双方の世界の重複点が『ベース』や『ROOM 37』であるという仮説。当たるかどうかは知らん。寧ろ外れてる可能性の方に金貨200枚を賭ける……と、その直後のシーンで夢遊病を思わせる描写が出て来た訳だが。どうなのだろう、物語としてのカタストロフィを予測するとなれば何らかのどんでん返しがあるはずなのだが。一つ思いついたネタとしては、遥か昔に読んだ児童書の内容で『電源を切られた後のテレビゲームの中の世界』という設定を利用したものがあったのだが、それを推測してみる。つまり、『将軍』は『西條拓巳』の役割から解放された何らかの人格であり、『西條拓巳』がOFFの時にのみ活動する事が出来る、とかその逆とか。可能性が高そうなのは後者だろうか。更に直後の病院でのシーン。冷静に舞台に対する主人公の行動を第三者視点として観察すると統合失調症の疑いが増してくるわけだが、というか本作ってもしかして統合失調症とか絡めてるのか?妄想だとか幻覚ってのは薬物を無視すれば脳疾患の可能性が十分有り得るし……穿ち過ぎか? ただ、『自分が狙われている』『自分の周りで起きている全ての出来事は陰謀だ』という妄想や異常な緊張や興奮ってのは統合失調症の陽性症状に当てはまるんだよなぁ。
  等と思っていたら、剣の購入後において、冒頭の研究機関〜作中の単語から推測するに宗教集団か?〜での場面が挿入される。やはり、単なる主人公の妄想に止まらない何らかの超常現象が存在する事については疑う必要は無く、またその超常現象について前述の団体が何らかの試み/企みを持っている事も読み取れる。素直に悪の組織とそれに立ち向かう事になるだろう少年少女の活劇が長い前置きの後に始まるのだろうとあっさり推察してもいいのだろうが、何となくそれだと負けの様な気がしなくも無い。何に負けるのかは不明だが。敢えて言えば、ライター?
  翌日、何故かラジオの相方が不思議とクラスの溶け込んでいたり、以前に意味有り気なインターミッションを挟まれていた転校生の登場を辿り、無人の屋上に逃げ込む。そこで聞くことになる留守電と、それに吹き込まれていた意味有り気な音。横断歩道のメロディからコンボな訳だが……はてさて、『とうりゃんせ』を意図的に用いるって事は、神隠し的な意味合いでもあるという事だろうか。更に刑事達による西條拓巳の過去についての捜査であったり、或いはその後に始まる章末部のコンビニへの買出しのシーンでの『無人の街』の描写であったりを考慮するに、主人公・西條拓巳について神隠しを髣髴とさせる特殊能力の持ち主であると言う仮説が立ち上がって来る様な解釈が発生し得る。更に『将軍』の登場……モチーフは「AKIRA」の人工超能力者っぽいな。その後、世界が静寂から解放された後に都合良く梨深に助けられて本章終了。まだまだ謎は深まるばかり。