思い出の作品達 六十三回 「ロマンシング サ・ガ2」

ロマンシング サ・ガ2

ロマンシング サ・ガ2

 
 
 アバロン帝国と周辺諸国を舞台にした仮想世界における一大叙事詩
 前作よりも広がった世界と(冒険する順番)選択肢/展開、改良された武器/術の熟練度システム、コモンからレアまでやけくそな程に広く分布するアイテムとモンスター、シリーズ初登場にしてその後のシリーズの代名詞ともなった閃きシステム(通称電球)/技道場の搭載……ロマンシング サ・ガシリーズをコアなRPGマニア垂涎の代物へと伸し上げた金字塔的な作品。
 上記にて挙げた各種要素の内、注目するべきは熟練度システムと技システム関連≒即ち戦闘面における進化だろうか。前作の『個々の武器毎に固定技/熟練度』というシステムだったのに対して、本作では『系統毎に共通した技/熟練度』というシステムへと大きく進化している。これにより、前作において武器の威力⇔技の使い勝手という対立構造にあった部分が解消され、使いたい技に合わせて武器を次々変更出来るという自由度/武器を外しても熟練度がキャンセルされないので、必要や趣味に応じて様々にキャラクターを育成出来る自由度が大きく増すカタチとなっている。
 また、本作においては前作においても短いスパンではあったが存在した時間経過の概念がはっきりと目に見える形で描かれており、徐々に発展してゆく町の描写があったり長い年月を跨いで連動するイベントが存在したりと上手くその要素を使った仕掛けが施されている。尤も、下手にほったらかしにすると町や国が崩壊したり、火トカゲな人々が全滅したり、大久保が凶悪化したりと大変だったりはするが。
 全滅する火トカゲな人々といえば、本作ではパーティキャラクターを決定付ける要素として個人よりも職種/種族といった部分が強調されている。これは上記にて述べた膨大な時間経過が作中にて流れるが故に、個々のキャラクターが必然として代替わりしてしまうが故の設定だろうが、注目するべきはその種類で代表的なモノでは物語の中心となるアバロン帝国の関係者諸氏、あるいは山奥で修行に励む格闘家集団、密林の奥にて生活を営むアマゾネス、果ては人魚にモグラに有翼人まで多種多様な外見と能力を持った集団からパーティキャラクターを選んで冒険へと挑むことが出来る。
 個人的にも世間的にも非常に高い評価を得ている作品、シリーズ共通の難点として取っ付き辛いシステムとバランス/目立つバグと削除されたっぽい各種イベントが少々本作を万民向けとは言いづらいモノへとしてはいるが、慣れれば千回とまではいかなくとも総プレイ時間数百時間は楽しめてしまう懐の深さを持っている。一人or少数の人物に焦点を当てた紀伝体な作品が多い中で、大きな時代や世界の流れを描いた編年体な作品。