思い出の作品達 八十三回 「ドラゴンクエスト5 〜天空の花嫁〜」

ドラゴンクエスト5

ドラゴンクエスト5

 
 
 仲魔システムを前面に打ち出したシリーズ初のSFC参入作品。
 3で人気を博したフリーパーティ制とそれ単体でも人気を持つ鳥山明デザインのモンスター、その二つを組み合わせて確率制御を行いゲーム性を持たせたシステムなのだが、『可愛いモンスターから凶悪な奴らまで、憎たらしいあいつ等を自陣に加えて戦う事が出来る』という仕組みが案外受けたのか、発売前から随分と話題となった作品であった。現在もPS2にてリメイクされた本作が一部においては『DQ8よりも面白い』などという評価を得ていたりと、シリーズ中でも屈指の人気を誇る作品である。
 尤も、本作の人気は特異な新システム(前述の仲魔システムを始め、ボタン一つで様々なアクションを代行出来る便利ボタンシステム等)に拠るものよりも、大河的とも言える壮大にして細部にまで拘った物語への評価に因るところが大きいと言えるだろう。親子三代に渡る魔との戦い/偉大な父親の背を追いかけ続けた少年期/親の死を乗り越えて苦難を凌ぎ切り、友と手を取り合い最愛の女性と共に往く青年期/ついでに言えば10余年の歳月を超えて再び巡り会う幼馴染(との結婚……というと、オリジナル版でのフローラ派を敵に回すっぽいが)/我が子にして父親の悲願である伝説の勇者と共に巨悪へ対峙する壮年期/そしてまたしても10年弱の月日を乗り越えて再び己が手に取り戻す最愛の女性/そして、最後は大団円……『最後の復活っぽい演出は妄想で、世界に平和を齎したけれども失ったものを結局何一つとして取り戻せなかった天空の勇者』であったり『結局、愛する女性?も己が故郷すらも夢の中へと消え去ってしまい一人既知にして未知の世界に取り残されてしまった村の少年』とは違い、『凄まじい苦労と不幸に見舞われ失ったものも多いけれどもそれ以上のモノを取り戻し/手に入れて最後には皆幸せになりました』という起承転結がはっきりした本作の主人公の半生を描いた物語への評価は非常に高い。
 そう言えば、本作は裏技においても前作に負けず劣らず中々盛り上がった作品であった。『スライムレースほぼ必勝技』『仲魔モンスター強制レベル上げ技』といったかなり早い段階から広く知られていたものから、近年になってその存在が明らかになったデバッグ技『ひとしこのみ』まで随分と多岐に渡る裏技が確認されている。まぁ、ぶっちゃけバグであってりデバッグ潰し残しであったりするのだが、そういった裏技の存在が世に広く知れ渡っているというのも、本作が幅広い層において多数の人間から今も尚愛されている証拠の一つ……なのかもしれない。
 
 因みに『スライムレースほぼ必勝技』は『カジノの闘技場で適当に賭け、試合中にキャンセルしてスライムレースに挑むと1−2が高確率で当たる組み合わせとなる』。『仲魔モンスター強制レベル上げ技』は『同種のモンスターを二匹以上(例えばスラリンとスラぼう)揃え、レベルを上げたい方の仲魔をモンスター爺さんに預けてすぐ回収し、その後一回戦闘を行うと該当のモンスターのレベルが必ず1つ上がる。』。そして、『ひとしこのみ技』は『主人公の所持品を上から「ひのきのぼう」「とがったホネ」「しあわせのぼうし」「こんぼう」「のこぎりがたな」「みかわしのふく」のみにしておくと、仲魔モンスターは必ず戦闘後に起き上がりこちらの攻撃は必ず会心の一撃になる』というバランスブレイカーな代物。