思い出の作品達 第百二十八回 「サガ フロンティア」

サガ フロンティア PS one Books / サガフロンティア / スクウェアソフト ミレニアムコレクション サガ フロンティア (スペシャルパック)

サガ フロンティア PS one Books
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 現在所持しているのは「スクウェアソフト ミレニアムコレクション サガ フロンティア (スペシャルパック)」版。以前に実家の近所にて投売りされていたのを購入した。
 というか、全部買った事があるような気がする。学生時代の金が無い折にそれぞれ売り飛ばしてしまったが。
 ……その後、結構買い戻していたりするんだから、結果的に見れば随分無駄な金の使い方だなぁ。
 まぁ、逆に考えれば本作が『一度飽きるほどやり込んだ後でも、暫く時間をおけばまた遊びたくなる名作』と言う事なのかも知れないが。
 
 さて、本作はGBにおいてスクウェアソフト初のミリオンヒットを飛ばして以来、FFと並んで同社の看板タイトルとして評価されている『Sa・Gaシリーズ』がまた装いを新たにPSにてリリースされた作品である。同シリーズの特徴を良悪共に引き継ぎ、進化させたファン待望の新作という事で期待され、見事に期待に応えたと言うべき一作。発売後10年になるが、未だに『本作』の続編やリメイクを待ち望む声がちらほらと聞こえる根強いファンを持つ作品として有名である。多分。
 どちらかと言えば硬派なRPGゲーマー向けに調整された戦闘バランスや派手な技・術の演出、何処と無く殺伐とした混沌たる世界観、味のある台詞回しやよくあるお約束を守ったり裏切ったりする舞台展開など、どちらかと言えば「Romancing Sa・Ga」以前のGBシリーズ時にあった特徴を色濃く押し出し、シナリオシステム面では「Romancing Sa・Ga」で確立させたフリーシナリオ制を取り入れ、更にその二つを上手く溶け合わせるシステムとしてオムニバス・シナリオを採用し、七人の主人公による七つの短編物語(+共有サブイベント)を楽しむ形式となっている。
 
 個々の主人公シナリオは設定面において共有している箇所があるものの脚本としては完全に独立しており、どのシナリオから始めてもそれぞれ楽しめる作りとなっている。これに関しては発売当初は賛否両論となったが、現在となっては概ね高い評価を受けている。(濃いファン層を持ち、カルト的な人気を誇るシリーズだけに『新作発売直後は(その作品が以前の作品と比して)叩かれる傾向が強い』というのがある。)また、本作内においては没となったが、後に攻略本として発売された「サガフロンティア解体真書」に掲載された『八人目の主人公・ヒューズ編』という本作の七編を統合させた小説も人気が高く、俺の様なファンの一部から「ヒューズ編込みでリメイクしやがれ■!」という応援だか批判だかが今も絶えない様な。 また、世界観をGBシリーズに近いそれに変更されたことに伴って、GBシリーズ2作において採用されていた種族制が再び用いられており、人間・妖魔・ロボット・モンスター(+半妖・ヒーロー)のそれぞれ特徴の異なる種族のキャラクターをシナリオ・サブシナリオを通して仲間にしていき、己の好みで最大3チーム/15人パーティを組む事が出来る。(チーム間の入れ替えは自由だが、一度仲間に加えると強制離脱以外では仲間から外せない。この為、スライムや赤カブが嫌われていたり……)
 戦闘システムでは前シリーズにおいて導入されていた陣形設定システムが廃止され、戦闘突入時にシンボルとの接触判定などによって自動的に陣形が設定される様になっている。(陣形→キャラクターの配置関係自体は悠然と残っており、範囲攻撃等において重要となっている。) 勿論、人気の高い閃きシステム:通称・電球も当然搭載。本作においても戦闘中に突然起死回生の一打を閃く喜びを楽しんだり、中々目当ての技を閃けずに延々と生命科学研究所で戦い続けた覚えのあるユーザーは多いだろう。また、本作から新たに導入され好評を博した連携システムも爽快感溢れる作りとなっており、上手く連携させれば序盤から4桁ダメージを叩き出し、最終的にはダメージカウンターを振り切る大ダメージを拝むことが出来る本システムは演出的にも非常に格好の良い代物となっている。 他にも、攻撃・防御属性の重要さは相変わらずであり、その設定の極悪さ振りは小泉今日冶の本領発揮と言わんばかりに複雑となっている。本作プロデューサー河津氏曰く『空中に浮いて対地攻撃無効とあれば、対空攻撃クリティカルが先ず設定されている事を疑わなければならない』との事。
 後、忘れてはならないのがイトケンこと伊藤賢治氏による疾走感溢れるサウンドであり、殊、本作における氏の提供する楽曲は「Romancing Sa・Ga3」のそれと並んで『イトケン全盛期』と評される多彩さ/完成度の高さを誇っており、中でも『Battle#4』『Battle#5』辺りはシリーズ屈指の人気を誇るナンバーとなっている。因みに俺は『Battle#4』(CM曲、重要な中ボス等で流れる)が一番好きだったり。
 また、本作は公式に改造データが配布された作品であり、本作(を始めとするスクウェアソフト製RPG)の改造セーブデータが収録された「不思議のデータディスク」のおまけとして発売された「チョコボ不思議のダンジョン」は有名だろう……いや、おまけの方も面白いんだが、ローグタイプとしてはそこそこなアレだし。
 
 短編ながら味わい深いシナリオと、早解き・キャラクター強化・アイテム収集等様々なやり込みに対応した複雑且つのめり込める作り、PS初期としてはオーバースペックなグラフィックと演出、時代を超えて評価されている楽曲など、知名度・評価共に名作と呼ぶに相応しい等級の作品。ミリオンヒット作品であり、三度に渡る再出荷(PS one book、ミレニアム、アルティメットヒッツ)によって比較的手に入り易いだろうから、店頭で見かけたら是非手にとって貰いたい一品。損をさせることは無いだろう。